図7焼結セラミックスに形成された照射痕の共焦点レーザ顕微鏡観察輝度像。スケールは各画像で共通(a) 1.2 J/cm2、200回照射(b) 0.83 J/cm2、400回照射(c) 0.73 J/cm2、800回照射(d) 0.63 J/cm2、1600回照射図8(a) CVD-SiCセラミックスと、(b) 焼結SiCセラミックスのレーザ未照射面のレーザ顕微鏡輝度像4.まとめ謝辞ション率が低下し、照射痕のサイズも小さくなっていった(図7)。焼結SiCセラミックスアブレーション閾値は0.53J/cm2となり、CVD-SiCセラミックスと比べるとアブレーション閾値フルーエンスが2倍以上異なる。CVD-SiCセラミックスと焼結SiCセラミックスの違いとして、表1に示した熱伝導率があげられる。CVD-SiCセラミックスは熱伝導率が良いため、基板の温度上昇が生じにくくなることで、アブレーション閾値に差がつくことは考えられるが、熱伝導率の違いだけでは、CVD-SiCセラミックスのアブレーションがフルーエンスの低下に対して急激に生じなくなることは説明できず、CVD-SiCセラミックスでも徐々にアブレーション率が0に近づいていく方が自然である。図8にレーザ顕微鏡で観察したそれぞれのSiCセラミックス基板のレーザ未照射面の輝度像を示す。CVD-SiCセラミックスでは1.4 J/cm2以下のフルーエンスでは急に照射痕が形成されなくなったが、焼結SiCセラミックスではフルーエンスを下げるにつれてアブレーSiCセラミックスのレーザ加工特性を明らかにすることを目的として、CVD-SiCセラミックスと焼結SiCセラミックスに対して波長1064 nm、パルス幅360nmのレーザを集光照射し、アブレーション閾値フルーエンスとア鏡面研磨を施した表面の粗さはそれぞれのSiCセラミックスで大きく異なる。CVD-SiCセラミックスは粒径が小さく、また粒子の中までSiCが詰まりやすいため、鏡面研磨を施しても欠陥が生じにくい。一方で、焼結SiCセラミックスはSiCの粒径が大きく、粒子も中空の物ができやすいため、鏡面研磨を施したときに粒子がかけ落ちたり、中空の部分が面として出てきたりしてざらざらした表面になってしまう。焼結SiCセラミックスは表面の欠陥が多くて吸収が増えることでアブレーションが生じやすくなり閾値も低くなっている可能性が考えられる。ブレーション率のレーザフルーエンス依存性を明らかにした。それぞれのSiCセラミックスにおいて、3J/cm2以上のフルーエンスではフルーエンスが小さくなるにしたがってアブレーション率も減少し、同様のアブレーション率や照射痕を形成した。照射痕中央部には高輝の高い構造が現れ、フルーエンスの低い照射痕周辺部にはフェムト秒レーザをSiC結晶や金属に照射したときと同様のLIPSSが形成された。フルーエンスが低くなると、輝度の高い部分よりもLIPSS部分のアブレーション率が大きくなることから、照射痕の中央が盛り上がる掘れ方をすることが明らかになった。3J/cm2以下では、輝度の高い部分が形成されなくなることでアブレーション率が増加し、照射痕全面にLIPSSが形成された。LIPSSが形成される1-2J/cm2では広いフルーエンスに渡ってのアブレーション率が一定になり、フラットな加工が可能であることが分かった。CVD-SiCセラミックスでは2J/cm2を下回るとアブレーションが生じないことがあったが、焼結SiCセラミックスでは1J/cm2以下になるとフルーエンスの減少にともなってアブレーション率が減少していき、照射痕も小さくなっていった。高輝度部分は溶けて固まったようにも見えているが、SiC結晶にフェムト秒レーザを照射したときに見られるのと同様に、アモルファス化のなどの可能性が考えられる。今後、高輝度部分の組成や結晶構造を調べたり、異なるパルス幅や波長のレーザを用いて照射実験を行ったりすることで、SiCセラミックスのアブレーションやLIPSS形成のメカニズム、加工特性の向上についての研究を行っていきたい。本研究の一部は公益財団法人天田財団( ■■■年度奨励研究助成(若手研究者枠)■■■ ■■■ ■■■■ )より助成を受けて行われました。− 438 −
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