■ 図4.銀薄膜サンプルへ532 nmレーザー処理をした後の形成物および熱処理により作製した酸化亜鉛のフォトルミネッセンススペクトル. 図3.レーザー処理前(a),および532 nmレーザー処理後(b),266 nmレーザー処理後の薄膜の光学顕微鏡像. ■■・■■今後の展望 今回,酸化亜鉛の確実な合成にまで至らなかった原因のであったが観察場所によっても異なるため,より定量的に調査する必要がある.なお,これらの傾向は金薄膜を用いた時にも同様であった. これらの明るい部分は325 nmのCWレーザーを照射すると蛍光を発することがわかった.図4にAg薄膜上に原料をスピンコートしレーザー532 nm照射したサンプルのフォトルミネッセンススペクトルを示す.比較のため,熱処理して作製した酸化亜鉛のフォトルミネッセンススペクトルを示している.450-650 nm付近に見られるブロードなピークは酸化亜鉛の格子欠陥に由来するピークである.370 nm付近の比較的鋭いピークは励起子の消滅に伴う発光ピークである.532 nmレーザーで処理したサンプルではブロードなピークはみられたが,励起子に由来するピークは観測されなかった.励起子に由来するピークの位置は酸化亜鉛に固有のバンドギャップエネルギーを反映するため,このピークが観察されれば酸化亜鉛が合成されたと考えてよいと思われる.しかし,レーザー処理を施したサンプルでは,このピークは今回観測されなかった.また,X線回折分析によっても,酸化亜鉛に特有の回折パターンは観測することができなかった.結晶構造が非常に乱雑で欠陥発光のみが観測された可能性もあるが,酸化亜鉛が本手法で合成できたかは,今回の評価では断定できなかった. 一つとして,レーザーパワーが足りなかったことが挙げられる.今回はナノ秒パルスレーザーを用いレーザー処理を行ったが,その際,金属薄膜がダメージを受ける手前のエネルギーに設定した.レーザー照射中に加熱を行うなどして熱エネルギーを援用して合成を行う方法7)などが改善法として挙げられる. その他,原料である有機金属の選定においてより光解離しやすいものを選定することも,今後の改善点として重要であると考える. 4.結び 本研究は,近接場の光化学反応による金属酸化物ナノ構造体の合成手法の開発を目的とするものであった.近接場の生成には金と銀の蒸着により得られるアイランド状の構造を利用した.また,作製する金属酸化物は酸化亜鉛とし,ゾルゲル法を利用して前駆体を作製した.532 nmおよび266 nmのレーザー照射において処理前とは異なる発光体が観測されたが,酸化亜鉛の合成は確認されなかった.今後,加熱を併用するなどの工夫によって本手法の開発を進めていきたい. − 433 −
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