助成研究成果報告書Vol.35
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図3に銀薄膜上に酢酸亜鉛のメタノール溶液を滴下・スピンコートし532 nmおよび266 nmのレーザーで処理した薄膜の光学顕微鏡像(明視野像)を示す.また,比較のためレーザー処理を施していない薄膜の像も示している.図2.(a)金薄膜のAFM像.(b)FDTD法で計算した電場の増強がみられる領域.AFM像に黒色で塗りつぶす形で増強の見られた領域を示した.図1. 金,銀薄膜および酢酸亜鉛の紫外可視吸収スペクトル.3.研究成果あり,また励起子束縛エネルギーも高いことからフォトルミネッセンスの発生効率が高い.■・■金属薄膜の紫外可視吸収分光図1に真空蒸着により石英基板上に作製した金属薄膜の紫外可視吸収スペクトル(V-550, JASCO)を示す.参考に,原料である酢酸亜鉛のみを基板上に滴下し乾燥させたものの吸収スペクトルも示している.また,それぞれのスペクトルは最大値が1になるように規格化した.金薄膜は500 nm付近で光吸収が小さくなりそこを境に吸収が高くなっていくようなV字型のスペクトル形状を示した.一方,銀薄膜は470 nm付近に吸収極大をもつスペクトル形状を示した.そのため銀薄膜は本研究で用いる532 nmの波長のレーザーの効率的な吸収が期待できる.また,酢酸亜鉛の光吸収は350 nm付近以下で起こることがわかる.すなわち350 nm以下の波長の紫外光で分子の乖離が起こるはずである.今回は532 nmのレーザーにより金属薄膜のアイランド構造に形成する近接場を利用し,金属酸化膜の合成に取り組む.一般に,近接場においては入射光波長の高調波成分が発生したり5),分子が基底状態から反結合性軌道へ直接遷移(非断熱遷移)することなどが報告されている6).そのため532 nmの可視光でも金属酸化物の合成が可能であると考えられる.■■■■法による近接場強度の評価■・ 金属蒸着により作製した金薄膜の表面のAFM像を図2(a)に示す.薄膜の厚さは約30 nmである.高さ数十ナノメートルのアイランド状の構造がみられる.このAFM像を用いてFDTD法により電場の応答を計算した結果を図2(b)に示す.照射する光の波長は532 nmと設定した.黒く塗りつぶされている部分が金のアイランド構造によって電場の増強が起こった部分,すなわち近接場を示している.電場の増強度は最大で100倍程度であった.図2を見てわかる通り,電場の増強が効率よく起こるのはアイランド間のギャップの部分である.そのため,レーザーを照射したとき金属のアイランド構造のギャップ部分に合成物が生成するものと予想される.■・■薄膜表面の光学顕微鏡による観察とフォトルミネッセンス分光レーザー処理を行う前後を比較すると,レーザー照射後は明るい部分が形成されていることがわかる.また,これらは532 nm照射よりも266 nm照射のほうが小さいよう− 432 −

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