キーワード:近接場,酸化亜鉛,フォトルミネッセンス,金属薄膜 1.研究の目的と背景 ■・■■微細加工技術の現状と問題点■今日の微細加工技術の発展はパソコンや携帯電話等に代表されるような情報化社会を支えるデバイスを生み出してきた.これらはさらなる微細化・集積化により,性能の向上が続いている.例えば,インテル社の開発する集積回路ではその線幅はシングルナノメートルにまで微細化が進んでいる■■■■しかし,このような微細加工技術の発展の流れにおいて,加工装置の高額化や微細化の限界などが問題として挙がってきている.■■■■回路などの微細化には深紫外光源によるリソグラフィが利用されているが,このような光源は高額であり,大規模な投資のできる一部の大企業や研究所などにしか利用できない.また,微細化・集積化はいずれ限界を迎えるため,新しい動作原理で動く電子デバイスが将来的に必要不可欠である.■本研究はこれらの問題に対し,近接場光を利用したレーザープロセシングの開発によって解決に取り組む.具体的には近接場光を利用することで可視光源でのナノスケールの材料合成を達成する.また,合成する材料として誘電,圧電,磁性,超伝導など,多彩な物性を示す金属酸化物を対象とする.■■・ ■近接場光について■近接場光とは,光の波長よりも極めて小さい金属等の物質に光を照射した際,その物質の周りに局所的に発生する光であり,一般的な光と異なり遠方に伝播しない.近接場光のサイズは微小物質のサイズに依存するため,光の回折限界(光はその波長程度までしか集光できない)よりも小さな光を生成できる.即ち,近接場光を利用すれば可視光でも波長よりはるかに小さい微細パターンを形成できる.■■■・■■金属酸化物の作製■本研究では,有機金属を基板に塗布し,レーザーを照射することで起こる光化学反応により金属酸化物を成長させる,塗布光照射法と呼ばれる手法を利用する■ ■.通常,金属酸化物の結晶成長では■■■℃以上の加熱処理が必要であるが,本手法では金属酸化物の室温での成長が可能である.また,適切な基板の選択によりエピタキシャル成長が可能であるという特徴もある■ ■.■■・■■研究の目的■近接場の光化学反応による金属酸化物ナノ構造体の合成手法の開発を目的とする.■ 2.実験方法 ■ ・■■金属薄膜の作製と■■■■法による評価■真空蒸着により金および銀の薄膜を作製した.蒸着レートは0.5 Å/sで膜厚が30 nmとなるよう蒸着を行った.基板には石英( 25 mm, t 0.15 mm)を用い,アセトン,メタノールおよび蒸留水でそれぞれ30分以上超音波洗浄をしたものを用いた.作製した薄膜はその表面形状を原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope) (JSPM-5200, JEOL)で計測し,その形状をもとに有限差分時間領域(FDTD: Finite Differential Time Domain)法で電磁場の応答を計算した.計算ソフトにはLumerical Solutions社製のものを利用した. ・ ■試料作製方法■当初計画では,試料の作製方法については文献2)および3)を参考に,亜鉛アセチルアセトナートを原料とし,酸化亜鉛の合成を行う予定であった.しかし,この方法では酸化亜鉛を合成することはできなかった.原料の選定や作製法を検討して,ゾルゲル法を利用した合成法を採用することにした. 文献 4)を参考にゾルゲル法によって,酸化亜鉛の前駆体を金属薄膜上に作製した.酢酸亜鉛二水和物Zn(CH3COO2)•2H2Oをメタノールに溶解し0.02 Mの濃度に調整した.そして,スピンコーターにより0.2 mLの溶液を3000 rpmの回転数で20秒スピンコートした.その後ホットプレート上で80℃で10分間加熱し溶媒を取り除いた.この,スピンコートと加熱の処理は合計5回繰り返し行った. 次に,以上の手順で作製した金属薄膜上のゲル薄膜にレーザーを照射した.レーザーにはNd/YVO4レーザーを用い,波長は532または266 nmとした.繰り返し周波数は2.5 kHzでパルス幅は7 nsである.強度は金属薄膜がダメージを受けない程度に設定し,スポット径は約5 mmであった.レーザー処理はそれぞれ30分間行った.なお,比較のためレーザーを照射せず550℃で加熱処理を行った試料も作製した. ・■■合成試料の評価■合成した試料は光学顕微鏡とフォトルミネッセンス分光により評価を行った.酸化亜鉛は直接遷移型の半導体で学習院大学■理学部■化学科■( ■■■年度■奨励研究助成(若手研究者枠)■■■■ ■■■ ■■■■ ) 助教■近藤■崇博■− 431 − 近接場光を利用したナノスケール 金属酸化物合成プロセスの開発
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