1.研究の目的と背景CVDダイヤモンドは,高硬度,ヤング率,良い熱伝導性などの優れた特性を有するため,製造業で注目を浴びている1).特に,安価,等方性かつ良好な加工性であるため,CVDD工具の刃先成形としては,一般的な手法は研削加工である.しかし,ダイヤモンドの極高硬度により,生キーワード:フェムト秒レーザ,■■■ダイヤモンド・コーティング工具ベンディング,刃先創製工具のコーティング材として切削分野への適用が進められている.高性能なCVDダイヤモンド・コーティング工具(下記CVDD工具)を用いて高精度高能率低コストのミクロ加工,例えば,CVDD工具による超硬金型の直彫りなど,実現することが期待できる.しかし,CVDD工具では,切削加工によって直接刻んだ超硬合金ダイスなどの高精度,低コスト,研削の微細加工を実現できた.しかし,成膜時に生じる刃先丸味が工具切れ味の低下を引き起こすという課題がある.切れ味の低下は,切削抵抗の増加,摩耗の増大,被膜の剥離を生じさせる.また,CVDダイヤモンドにはアモルファスカーボン分率が高く,大きな粒径は,高い表面粗さをもたらす.これにより,刃先丸味を除去する鋭利な刃先を成形する加工技術が求められている.産性と制御性は難しくなる.それに対して,短パルスレーザ加工は,材料硬さの制約を受けにくく,非接触な加工が可能であり,硬脆材料であるCVDダイヤモンドであっても鋭利な刃先が成形できるという利点がある ■.Eversonらは,PCDツールの製造の高い除去率を実現するためにnsレーザ処理を使用したが,表面の明らかに熱影響ゾーンはさらなる処理を必要とする■■.いくつかの他の研究■■■■については,ナノ秒(ns)レーザを使用して,ダイヤモンドに大量のエネルギーを供給して表面をグラファイト化し,研磨を仕上げ加工プロセスとして行った.しかし,これらの方法は高コスト,低効率,高精度切削に必要な十分シャープな刃先にならない.ここで,本研究室では短パルスレーザを用いて革新的なレーザ加工手法であるPLG·(pulsed laser grinding)という研削方法を開発された.工具エッジを斜めに照射することにより,砥石車のように小さな加工角度で繰り返し走査することにより,鋭い刃先を高効率かつ正確に生成することができる.nsレーザによるPLGの現在の問題点は,比較的滑らかな加工面を得ることができたが,ダイヤモンドの品質が影響を受け,縦筋が著しく出ている■■.この熱影響を抑制するために,冷加名古屋工業大学電気・機械工学科機械工学分野( ■■■年度奨励研究助成(若手研究者枠)■■■ ■■■ ■ ■■ )助教劉暁旭2.研究方法工法としてフェムト秒レーザが有望である.さらに,低フルエンスfsレーザ照射により多結晶CVDダイヤモンドにおける結晶性向上が誘起されるという新しい現象が報告されている7).この構造改質の効果は,シリコン,DLC,さらにはグラファイトさえも他の材料についても発見された.具体的なメカニズムは未だ解明されていないが,これはfsレーザによるPLG加工の新しいアベニューを開いており,CVDダイヤモンドがかなりの量の欠陥と非晶質炭素を含んでいるので,より高精度で熱衝撃の少ない,あるいはダイヤモンドにポジティブな微細構造変化を得る刃先創製手法が期待できる.本研究では,fsレーザを用いたCVDダイヤモンド被覆工具の工具刃先形成と構造改質を同時に行うことを目的とした.まず,赤外線(IR)範囲のfsレーザを用いて,CVDダイヤモンド被覆工具上でPLG加工を行い,nsレーザPLGの比較を行った.次に,紫外(UV)fsレーザPLGを行い,適切な加工条件を調べた.最後に,工具刃先形成と表面微細構造変化の観点から,3種類のレーザを用いた加工工具刃先を比較した.し,ダイヤモンドには多くのアモルファス成分な炭素があることを示している.Fig.1(a)に示すように,超硬合金にコーティングされた約20μm厚の多結晶CVDダイヤモンドを用いた市販ダイヤモンド切削インサートを使用した.走査型電子顕微鏡(SEM)によるas-receivedしたダイヤモンド工具の形態から,Fig.1(b)に示すように,刃先の丸みがかなり大きい.また,球晶のような表面形態は高い表面粗さをもたら(a)− 425 −Fig. 1. (a) polycrystalline CVD diamond coated inserts (b) PLG processed areaSEM images the tool edge(b)フェムト秒レーザを用いた多結晶■■■ダイヤモンド・コーティング工具の高機能刃先創製
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