図6集光レーザー走査型CVD装置を用いてSi基板上に作製した線状SiC被膜の表面SEM像:(a) 低倍率SEM像と外観写真,(b) 高倍率像図8 集光レーザー走査型CVD装置によりSi3N4基板上に作製した線状ZrCN被膜の外観写真(上図)と光学顕微鏡像(下図)図7線状SiC被膜の断面SEM像(a)およびTEM像(b) 図9集光レーザー走査型CVD装置によりSi3N4基板上に作製した線状ZrCN被膜表面の低倍率(a)および高倍率(b) SEM像4.結言描画したZrCNの外観写真と光学顕微鏡写真を図8に示す.このときの成膜条件は,レーザーパワー強度178.3kW cm–2,走査速度5mm/s,スキャン数400回,炉内圧力500 Paとした.ステージの加熱温度は135 ºCであるが,レーザー照射スポットの温度は直接的には計測できない.線描画中の基材表面の温度分布を二色式温度計(Thermera-InGas, Nobbytech, Japan)により計測した結果,照射跡(レーザー照射径:約0.1 mm)以外の部分も温度上昇するが,400ºC以下であった.本プロセスでは局所的(レーザー照射部)かつ瞬間的に高温になるが,選択的な成膜を可能にし,基材全体への熱負荷は抑制できるものと考えられる.図8に示すように線幅は1mm程度であり,レーザー照射径(約0.1 mm)よりも広く,3.2節のSiC線状成膜の線幅に比べても広かった.これはSiC原料が高温まで気相状態で安定であるのに対して,TEMAZ原料は比較的低温で分解・析出するため,レーザー照射域近傍の熱伝導・加熱により成膜域(線幅)が広がったと考えられる.断面観察の結果,線状被膜の中心付近の膜厚は12.4μmであった.線描画部の表面のSEM像を図9に示す.緻密質TEMAZ原料を用いた集光レーザー走査CVDにより線で数μmサイズのコーン状の表面組織が形成された.ただし,表面クラックが形成されており,これはZrCNと基材との線熱膨張係数差があり,レーザー照射・成膜時の局所的な熱応力により発生したものと考えられる.また,EDS分析ではZr,CおよびNのピークが検出された.クラックの抑制や詳細な構造評価は引き続き調査が必要であるが,レーザー照射・走査下のCVDによりZrCNの線状成膜を確認した.本研究では,集光レーザー照射・走査下でのCVDによるZrCNの描画技術開発を進め,下記の点を明らかにした.(I) Nd:YAGレーザー照射下でのTEMAZ原料を用いたCVDによるZrCN膜の形成挙動に及ぼす成膜温度の影響を調査した.成膜温度1100 ºCでは非晶質膜が形成された一方,1180 ºCでは結晶質ZrCNが成膜された.結晶質ZrCN膜の組織・構造観察の結果,表面は微細粒から成るコーン状組織であり,断面観察から炭素とのナノコンポジット構造であることが分かった.成膜速度は40 μm h–1でありアルキルアミド原料を用いたCVDによる既往報告と比べて1桁以上高速で気相成長した.(II)集光レーザー走査型CVD装置・機構を立ち上げ,SiC− 414 −
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