助成研究成果報告書Vol.35
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図2 レーザーCVDにより1100 (a–c)および1180 ºC (d–f)で合成したZrCN膜のSEM像:(b)および(e)はそれぞれ表面SEM像(a)および(d)の拡大像,(c)および(f)ははは断面のSEM像 図1 レーザーCVDにより1100 (a)および1180 ºCで合成したZrCN膜のXRD図形 ■1100および1180 ºCで合成した膜の表面および断面SEM像を図2に示す.1100 ºCで成膜した非晶質膜の表面は数μmサイズのコーン状組織が形成され,各コーンはnmサイズの微細な粒状組織の集合体であり,コーン間にはクラックの発生もみられた(図2(a)および(b)).破断面は,見かけ上緻密質なノジュール組織であった(図2(c)).膜厚は35.0 μmであり,成膜速度は210 μm h–1であった.1180 ºCで成膜した結晶質ZrCN膜の表面組織(図2(d)および(e))は1100 ºCで成膜した非晶質膜と類似したが,コーン状組織間にクラックの発生はみられなかった.破断面観察からの膜厚は6.6 μmであり(図2(f)),成膜速度は40 μm h–1であった.既往報告におけるアルキルアミド系原料を用いた熱CVDまたはプラズマCVDによるZrCN膜の成膜速度は~3 μm h–1程度であり4-6),これらと比較して本研究のレ 1180 ºCで成膜した結晶質ZrCN膜の断面組織および構造の詳細を調べた.イオンミリングにより平滑化した断面組織を図3に示す(図3(a)).緻密質ではあるが,高倍率像では10 nm程度の空隙や,空隙近傍にコントラストの異なる微細な組織が混ざり合っていることが分かる(図3(b)).1180 ºCで成膜した結晶質ZrCN膜の断面STEM像と制限視野電子線回折像を図4に示す.高角度環状暗視野(HAADF)像(図4(a))から,2つのコントラスト(明色および暗色)によりノジュール状構造が形成された.制限視野電子線回折像はNaCl構造のZrCNを反映したデバイシェラー環が現れ,これはHAADF像の明色コントラス部に対応すると考えられる(図4(b)).高倍率のHAADF像(図4(c))および環状明視野(ABF)像(図4(d))から2つの相がナノレベルで混ざり合ったコンポジットが形成されたことがわかった.XPSによる化学結合状態分析では,C 1sスペクトルにおいてZr–C結合の他にもC–C結合に起因するピークがみられたことから,HAADF像における暗■上記のようにレーザー照射下でのZrCNの成膜技術を確立した後,集光レーザー照射・走査によるCVD成膜に関する装置機構や成膜条件は結果と併せて3.2で説明する. ■ 3.実験成果 ■■・■■レーザー■■■による■■■■の気相成長■■■■レーザー照射下のCVDによるZrCN膜の形成に及ぼす重要な成膜パラメータの一つは成膜温度である.異なる成膜温度により合成したZrCN膜のXRD図形を図1に示す. 1100 ºC(レーザーパワー密度:83 W cm–2)で成膜した場合,2θ = 31º近傍にブロードな回折ピークが現れ(図1(a)),非晶質膜が形成されたことがわかった.一方,より高温で成膜した場合(1180 ºC,レーザーパワー密度:117 W cm–2),33.3º, 38.6ºおよび55.8ºに,それぞれZrCNの111,200および200に指数付けされる回折ピークが現れ(図1(b)),結晶質なZrCN膜の形成が示唆された. ーザー照射下でのCVDによる成膜速度は1桁以上高速で気相成長することがわかった. − 412 −

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