3.実験結果 (中⼼温度︓700〜950°C)203040502θ / degree6070Alumina (Al2O3)Aluminum (Al)Silicon (Si)Aluminum SilicateMulliteAluminum Carbideィッピングし、アルミナ表面に対してポリマーコーティングした。鏡面研磨部分以外に付着した余剰なポリマーを拭った後、鏡面研磨部分上のポリシロキサンの上に純アルミニウム棒(25 x 4 x 4mmt、純度99%以上、ニラコ製)を静置した。この試料をArガスが0.1L/minで流通する管状炉内に静置し、管状炉中心部の温度を700~950℃まで予熱した後、1mm/sの速度で電気炉中央部に向けて試料を移動させ、電気炉中央部に到達した直後に電気炉を停止し、アルミナとアルミニウムの接合を完了した。各温度域において試料を4つずつ作製した後、材料試験機((株)エー・アンド・デイ製)を用いてJIS G 0601:2012準拠の試験を行い、各試料の剪断強度を測定した。 図2 剪断強度測定用試料の作製概要 2・3 レーザーによるセラミック基板とアルミニウム粉末接合の試行 アルミナ板 (40 x 40 x 0.32mmt)の1面(40 x 40)を#400番相当の砥石で研磨した。その上にトルエンで希釈したポリシロキサン(KF-54、信越化学製)を滴下し、スピンコーター(SC8001、(株)アイデン製)を用いて、3000rpmの速度で20秒スピンコートした。そのポリシロキサンの上に、あらかじめふるい分けして粒径50~100µmに揃えたアルミニウム粉末を乗せ、アルミニウム粉末の厚さが約100µmとなるようにスキージした。この試料に対し、Arガス雰囲気下で3次元造形装置(RaFaEl、(株)アスペクト製)内にてCO2赤色レーザー(80W)を1m/sのスキャン速度で、約5x40mmの面積分を照射した。 この照射後の試料を実体顕微鏡で観察した後、接合界面を試料断面研磨装置(IB-19530CP+IB-10500HMS、日本電子(株)製)で研磨した後、SEM/EDS(JEM-5600/JEM-2100, 日本電子(株)製)にて観察および分析した。 3・1 有機ケイ素系ポリマーをコーティングしたセラミックス粉末とアルミニウム粉末の水系スラリー焼結 スラリーを800℃にて加熱したところ、試料全体が硬化していた。従来、アルミナ粒子のみで焼結を行う場合、アルミナ粒子の表面拡散によるネッキング開始温度である1200℃以上が必要だが、本研究ではそれ以下での加熱によるネッキング形成に成功したことになる。SEM/EDSにてネッキング部分を観察および組成分析したところ、アルミナ粒子表面には変化が観察されたかったものの、アルミニウム粒子表面には溶融が原因と考えられる皺が入り、両者の違いは明確に観察できた(図3左上)。EDSにて接合部分を分析したところ、アルミナ粒子とアルミニウム粒子の間にはアルミニウム、ケイ素、酸素が混合した極めて薄い層が形成されており (図3右上)、XRDにて組成を分析したところ、アルミノシリケートを示唆するピークが観測された(図4)。アルミニウムとポリシロキサンを混合して加熱した場合、600℃前後においてポリシロキサンがアルミノシリケートに変化することが知られており、この結果は妥当である。5,6 以上より、本試料では焼結体内部においてアルミノシリケートによるネッキングが形成され、試料全体が硬化したと推測された。 図3 試料SEM像(左上、左下、右下)とEDS測定結果(右上) 図4 各温度で焼結した試料のXRD分析結果 スラリーを1200℃にて加熱したところ、アルミナ粒子間からアルミニウム由来とおぼしき物質が溢れ出ている様子が観察された(図3左下)。ポリシロキサンコーティングの有無によるアルミナ板と溶融アルミニウムの濡れ性を比較したところ、コーティング有りの場合ではアルミナとアルミニウムの濡れ性が改善されることから、7 溶融したアルミニウムが表面改質されたアルミナ粒子表面を伝い、粒子間の隙間から溢れ出たものと推測された。 スラリーを1600℃で加熱したところ、アルミナ粒子間の空隙が減少している様子が観察された(図3右下)。XRDにて組成を分析したところ、アルミナの他にムライトのピアルミニウム棒アルミナ移動速度:1mm/s1600℃1200℃800℃試料電気炉(JIS G 0601準拠)− 404 −
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