𝜀𝜀𝜀𝜀T=ln(𝜀𝜀𝜀𝜀N+1) ここで𝜀𝜀𝜀𝜀Tと𝜀𝜀𝜀𝜀Nはそれぞれ真ひずみと公称ひずみであり,引𝜀𝜀𝜀𝜀T=lnA0A (2)𝜀𝜀𝜀𝜀T=3.39�1−WW0� (3)図3マイクロ引張試験により得られた中炭素鋼ラスマルテンサイトの単一パケット構造体における公称応力–公称ひずみ曲線図433C-A試験片における初期結晶方位および降伏挙動の様子図533C-B試験片における初期結晶方位および降伏挙動の様子を示した.低炭素低合金ラスマルテンサイトの単一パケット構造体に対してマイクロ引張試験を実施したMineら7)の研究によると,ラスマルテンサイトの単一パケット構造体の降伏挙動は晶へき面の方位に強く依存することを明らかにしている.本研究で行った中炭素量のラスマルテンサイトにおいても単一パケット構造体の降伏挙動は荷重軸に対する晶へき面方位に依存することが明らかとなった.炭素鋼において炭素量の増加に伴い未変態オーステナイトがラス間に残留することが知られている.ブロック境界を含まない単一ブロック構造体に対してマイクロ引張試験を実施した研究6)によれば,単一パケット構造体と同様に単一ブロック構造体においても降伏挙動の晶へき面方位依存性が見られ,ブロック境界はラスマルテンサイトにおいて転位の移動を妨げる有効な強化要素の一つではあるが、塑性異方性はブロックの下部組織に起因することを示唆している.以上のことから低,中炭素鋼ラスマルテンサイトの下部組織における塑性異方性は変形の初期段階で発達する転位のセル組織8),基地組織中に含まれる炭化物,ラス間に残る残留オーステナイトなどのブロックの下部組織により起こることが考えられる.3.3ラスマルテンサイトの単一ブロック構造体における力学特性評価および予ひずみの影響成型加工時に受けるひずみ量は加工目的によって異なるが,本研究では大ひずみを受けた場合の力学特性および変形挙動を調査した.マイクロ引張試験片はバルク引張試験において応力が引張強さに至ったときの真ひずみ量に対応する部位から採取した.応力が引張強さに至ったときの公称ひずみは34%であり,次の式(1)により真ひずみを計算した.張強さにおける真ひずみは29.3%と算出された.次は真ひずみ29.3%を受けた部位を特定するために,破断したバルク引張試験片の平行部を一定長さに切り出して断面積を求めた.塑性変形の場合は体積が不変であるため,真ひずみの定義式を次式に置き換えることができる.ここでA0とAはそれぞれ初期の断面積と荷重を受けた状態における真の断面積である.Aを求めるために切り出した試料の幅を真ひずみにプロットすることで次式のように真ひずみと試料の幅との関係を得た.ここでWとW0はそれぞれ初期状態の試験片の幅と荷重を受けた状態における試験片の幅である.これによりあるひずみ量における試験片の幅を求めることができ,真ひずみ29.3%の部位を正確に特定することが可能になる.図6にマイクロ引張試験により得られた大ひずみを受けた低炭素鋼ラスマルテンサイトの応力–ひずみ曲線を示す.ひずみを導入することによりブロック形状も変化するため,その中からA試験片を採取することは困難であっ(1)− 397 −
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