助成研究成果報告書Vol.35
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4.結言 謝 辞 参考文献 3.2.4 FSF時の温度測定 本実験ではkタイプの熱電対を供試材のスリット(深さ1.7 mmの部分)に直接設置し,FSF時の材料内部の温度測定ができるシステムを作成して温度測定を試みたが,結果のバラツキが大きく,パラメータの変更による正確な温度変化を測定することはできなかった.SP-700チタン合金の超塑性発現温度は1050 K付近であり2),回転数1240 rpm,送り速度50 mm/minの時の最大温度は512℃と測定されたが,最高温度がチタン合金の超塑性現象を示す温度を満たしていない.FSF時のプロセスパラメータの変化によって入熱量を変化させれば,プロセス中の温度の制御,またそれによる材料流動および組織の制御は可能であると考えられるが,温度測定に関するさらなる調査が必要である. 本研究ではFSFによる光ファイバとチタン合金の機械的接合方法を提案し,新機能複合合金の形成の可能性を実験的に調べた.本研究での課題は,FSFのプロセスパラメータによって材料の流れが不十分であるケース,また入熱が多く光ファイバが破損してしまうケースがみられたことであった.今後,FSF時の材料の温度分布を正確に測定できるシステムの開発が必要とされるが,FSFによるチタン合金と光ファイバの機械的接合によるスマートマテリアル開発の可能性が示された.また,FSFプロセスパラメータとチタン合金の機械的性質の関係についても検討し,以下の知見が得られた. 1)チタン合金の表面状態,組織および機械的性質がプロセスパラメータに依存していることが明らかとなり,送り速度は50 mm/min以下および800 mm/min以上ではプロセス中に温度が不安定となり,材料流動が不均質となる結果が確認された. 2)硬さ試験を行った結果,光ファイバ近くの攪拌部の硬さ値が母材よりも大きく上昇していること,また光ファイバ近くの母材の硬さ値が元の母材の硬さ値と同等であることが確認できた.この結果により,攪拌部はスリット内で流動していると言え,攪拌部以外はFSF時の熱の影響を受けないことがわかった. 3)ツールの送り方向に関する引張試験結果により,すべてのパラメータにおいて母材の強度より低い強度(母材の67%から55%)が得られた. 4)送り速度の変化による強度の大きな変化はみられなかったが,回転数が低下することにより強度が低下する傾向が確認できた.これは材料の結晶粒微細化に関係していると考えられる. 5)マルチパスを行うことにより,材料流動の不足による強度の低下に関する課題点を改善できると考えられるが,今後さらに調査する必要がある. 6)高い送り速度における材料流動の結果により,入熱の影響以外に,FSF時の圧力および超塑性チタン合金の速度依存性も材料流動に影響していることが考えられ,プロ セス中に超塑性が生じている可能性が考えられる. 7)純タングステンのFSFツールが入熱量の大きいパラメータにおいて破損し,特にプローブ部分が摩耗したことから,チタン合金のFSF時のツール材質の検討が必要であると考えられる. 本研究は天田財団「2019年度奨励研究助成」(若手研究者枠)(AF-2019044-C2)により行われたことを記し,感謝の意を表します. 1) The Ohio State University, Rajendra Singh, 614.292.9044. 2) A. Ogawa, M. Niikura, C. Ouchi, K. Minikawa, and M. Yamada, “Development and Applications of Titanium Alloy SP-700 with High Formability,” Journal of Testing and Evaluation 24, no. 2 (1996): 100-109. 3) X. Li, “Embedded Sensors in Layered Manufacturing,” PhD, Mechanical Enginnering,Stanford University, 2001. 4) Y. Li, W. Liu, Y. Feng, and H. Zhang, “Ultrasonic embedding of nickel-coated fiber Bragg grating in aluminum and associated sensing characteristics,” Opt. Fiber Technol., vol. 18, no. 1, pp. 7–13, 2012. 5) S. Sandlin, T. Kosonen, A. Hokkanen, L. Heikinheimo, Use of brazing technique for manufacturing of high temperature fibre optical temperature displacement transducer, Materials Science and Technology, Vol. 23, Iss. 10, 2007. 6) W.M. Thomas et el. “Friction Stir Welding”, International Patent Application No. PCT/GB92/ 02203. 7) T. Nishihara, “Development of Friction Stir Forming”, Mater. Sci. Forum, 426-432 (2003) 2971-2978. 8) H. M. Tabatabaei et al., “Friction Stir Forming for Mechanical Interlocking of Ultra-Thin Stainless Steel Strands and Aluminum Alloys”, Defect and Diffusion Forum, 382, pp.114-119, 2018. 9) Hall E.O., “The deformation and ageing of mild steel: III Discussion of results,” Proceedings of the Physical Society 64 (1951) 747–753. 10) Petch N.J., “The cleavage strength of polycrystals,” J. Iron and Steel Inst. 174 (1953) 25–28. and − 394 −

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