助成研究成果報告書Vol.35
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1.研究の目的と背景キーワード:ショットブラスト処理ぬれ性表面テクスチャリング現在,地球環境問題の観点から産業をはじめとしたさまざまな分野において,技術的な革新が急務の課題である.特に材料に関しては,製造から利用,廃棄まで膨大なエネルギーを消費するため,高寿命化や高機能化,軽量化が求められている.様々な材料の中でも金属材料は,自動車や家電などの身の回りの製品をはじめ,構造部材のように社会インフラの骨格となるため,重要な材料であり環境問題に及ぼす影響も非常に大きい.現代社会で重要な役割を果たす金属材料にとって,腐食や汚染などの現象は,金属の持つ優れた特性を著しく損なう原因となる.省資源・省エネルギー社会を実現するためには,これらの現象を抑え,材料の持つ特性を最大限に活用することが求められている.金属表面の腐食や汚染は材料の寿命を低下させ,熱交換器などではエネルギー損失にもつながる大きな問題である.金属の腐食や汚染への対策として,ステンレス鋼のように自身が耐食性を持つ材料の開発や,メッキなどの保護膜の形成が施されてきたが,新材料の開発及び使用はコストが大きく,保護膜は一度剥離が起きてしまうと機能を保つことができない.そこで近年,これらの対策に加えて材料表面自体に微細構造を作り,腐食や汚染の一因となる水を弾く撥水性や水に濡れる親水性といった濡れ性を意図的に付与することで,金属材料の耐食性・防汚性を高める研究が行われている■).この課題を達成できる表面形状創製技術としてショットブラスト処理に着目した.ショットブラスト処理は金属,セラミック粒子からドライアイスまで幅広い投射材を使用できることから,自動車分野を中心とした様々な分野でバリ取りなどの機械加工技術として利用されている技術である.ショットブラスト処理では同じ装置を使用しつつ,様々な投射材を扱えることから,バリ取りのような機械加工のみならず,加工硬化による硬さの向上や残留応力の付与による疲労強度向上や,投射材成分の移着を利用した新規表面特性の付与,表面テクスチャリングの形成など幅広い効果が得られる手法である )■■).本研究は,表面の清浄化と粗面化を目的として用いられているショットブラスト技術を利用して,撥水性から親水性まで自由に制御可能な表面処理技術の構築を目的とする.また,ショットブラスト技術を用いているという点で,( ■■■年度奨励研究助成(若手研究者枠)■■ ■■■■■■■■ )大阪産業大学准教授南部紘一郎2.実験方法■■■■ら■)をはじめとして,多くの研究者たち■■■)が行っている短パルスレーザ加工を用いて材料表面上に作成した表面ナノ・マイクロテクスチャリング加工による超撥水特性に関する研究とも異なる.ブラスト処理はレーザ加工よりも低コストで処理でき,工場内に存在する高圧圧縮空気を利用すれば処理を行うことができるため,ブラスト処理により濡れ性を制御することは様々な工業分野への応用も期待できる点で有益である. ■■■試験片本研究における試験片として,耐食性に優れ,液体と接する環境下で使用されることの多いステンレス鋼を採用し,特に使用用途の多いオーステナイト系ステンレス鋼■■■■■■■を用いた.■■■■■■■の化学組成を以下の表■に示す.試験片には■■■■■×■■■■■×■■■■■の板材を使用し,試験片の加工には,ワイヤー放電加工機を用いた. ■ ショットブラストブラスト装置は,株式会社不二製作所製のペンシルノズル型手動ブラスト機■■■■■■■■■■■■■■(ニューマブラスター)■■■ ■■■ ■型を用いた.そして,ノズル部分φ■■ ■をアネスト岩田キャンベル株式会社製サンドブラスターのキャビネットと接続し使用した.本研究において用いた投射材は下記の■■種類であり,その詳細を以下の表 ■に示す. ■■接触角測定および表面自由エネルギー測定接触角計は株式会社エキシマ製の■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■Ⅱを使用した.測定を行う前に,ブラスト処理による試料表面上に残留した投射材の除去と,有機物等の除去のために蒸留水とアセトンを用いて,それぞれ■■■分ずつ超音波洗浄を行った.次に測定は,静滴法を用いて重力の影響を受けにくくするために■■■■µ■■の蒸留水を試料表面に滴下し行った.水接触角は各試料■■回ずつ測定し平均値を測定結果として用いた.表1試験片の化学組成− 384 −ショットブラスト処理を用いた表面形状創製技術の構築金属材料のぬれ性を自由に制御できる

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