助成研究成果報告書Vol.35
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図7■人工時効を施した試験片の破面. ■ 図6 人工時効を施した試験片の力学特性. 1) D.K.Xu, P.A.Rometsch, N.Birbilis:Materials Science and 2) K.Chen, H.Liu, Z.Zhang, S.Li, R.I.Todd:Journal of 3) 岩村信吾, 箕田正, 吉田英雄:軽金属, 60 (2010), 4) 渡邊克己, 松田健二, 吉田朋夫, 村上哲, 池野進:軽(a):ビッカース硬さ, (b):引張強さ, (c):破断伸び. 謝■辞■参考文献 一方で、8Zn合金では強化量は約20MPaに留まり、延性は低下した。これらの要因を考える。まず、強度上昇量が4.5Zn合金の方が大きかったのは、溶体化処理温度を上げて固溶させたCuが人工時効時の析出物の生成を促進したためと推察される。渡邉ら4)はAl-Zn-Mg合金の析出におよぼす添加元素の影響を調査し、Cu添加した合金では時効後の析出物の数密度が増加することを透過型電子顕微鏡(TEM)観察により示している。8Zn合金では、溶質元素量が多いため、時効時の析出物の生成量が多く、Cuの固溶量が増えても、析出物の生成を促進する効果が小さかったものと推察される。破断伸びが維持されたのは、4.5Zn合金ではステップ溶体化処理により、破壊の起点となる第二相粒子が少なくなったためと考える。8Zn合金では、元々の強度が4.5Zn合金よりも高く、さらにステップ溶体化処理により結晶粒径が粗大化したことにより、粒界への応力集中により、粒界破壊が誘起され、結果として低延性となったものと考えられる。これらを検証するためには、時効材や破断後の試験片のTEM観察が必要である。 本研究では、受け入れ材に対して、ステップ溶体化処理を施すことで、Al-Zn-Mg-Cu合金の力学特性を改善することが可能であることを示した。しかしながら、今回の実験条件では、熱処理に要する時間が通常の条件と比べて、非常に長くなってしまっている。より短時間で第二相粒子を固溶させることのできる手法の開発が必要である。例えば、ステップ溶体化処理の前に、塑性加工により、あらかじめ第二相粒子をより微細化しておけば、保持時間の短縮化が可能であるものと期待される。 4.結言 ■本研究では、Al-Zn-Mg-Cu合金に対して、ステップ溶体化処理を適用し、組織や力学特性への影響を調査し、以下の結果を得た。 (1) ステップ溶体化処理によって、共晶融解を生じさせることなく、残存する第二相粒子の量を減少させることができた。 (2)■溶体化処理温度が高くなるにつれて、結晶粒径は粗大化し、8Zn合金では粒界割れが誘起された。 (3) 4.5Zn合金では、最大約40MPaの高強度化を達成しながら、延性を維持することができた。 ■本研究は公益財団法人天田財団 ■■■年度奨励研究助成の下で行われたものであり、ここに深く謝意を表します。■■金属, 64 (2014), 413-417. Engineering A, 534 (2012), 234-233. Materials Processing Technology, 142 (2003), 190-196. 75-80. − 383 −

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