図3 各溶体化処理を施した試験片のSEM像. 図4 各溶体化処理を施した試験片の光学顕微鏡組織. 図5 各溶体化処理を施した試験片の第二相粒子の 面積率(a)と平均結晶粒径(b). 金の方が、ステップ溶体化処理により、より効率的に第二相粒子が減少しており、さらに結晶粒径も小さくなっている。Znの添加量がCuやMgの固溶限には大きな影響を与えないという報告3)があるため、これは均質化処理、熱間加工、冷間圧延などの試料受領前の製造プロセスの違い、本研究の範囲では明らかにできなかった。 ■図6には溶体化処理後に人工時効を施した試験片の力学特性を示す。まず、ビッカース硬さを見ると、溶体化処理条件によらず、Zn量の多い8Zn合金の方が、硬さが高くなっていることがわかる。これは、溶体化処理時にZnを含む粒子は容易に固溶し、その後の時効処理過程で微細な析出物が高密度に析出したためであると考えられる。4.5Zn合金について、溶体化処理条件の影響を見ると、わずかながら溶体化処理温度が高くなるにつれて、硬さが上場する傾向があることがわかる。8Zn合金についても、同様である。次に、引張強さに注目すると、P1の引張強さ465MPaに対して、P4では503MPaまで増加しており、約40MPaの高強度化が達成された。一方で、8Zn合金では、P1の引張強さ602MPaに対して、P4では620MPaまで増加し、約20MPaの高強度化が達成された。最大到達強度は8Zn合金の方が高いものの、強度の増加量はZn量の少ない4.5Zn合金の方が大きくなることがわかった。 次に、破断伸びについて見ると、4.5Zn合金ではP1の破断伸びが14.4%であるのに対して、P4で15.2%を示しており、強度が向上しているにも関わらず、延性が低下していない点が注目される。これに対して、8Zn合金では、P1の破断伸びが12.4%であるのに対して、P4では10.4%に低下している。この破断伸びの違いを調べるために、破面をSEMで観察した結果を図7に示す。溶体化処理P1では、両合金ともに破面は全面ディンプルで覆われており、延性的な破壊であったことがわかる。一方で、P4の溶体化処理では、4.5Zn合金ではディンプル形成型の延性破面であったのに対して、8Zn合金では一部粒界割れが混在した破面となっていた。 ■ステップ溶体化処理を適用することで、4.5Zn合金では最大約40MPaの高強度化しながら、延性は維持された。− 382 −
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