助成研究成果報告書Vol.35
383/462

図14.5Zn合金受け入れ材のSEM像.図2本研究で行った溶体化処理工程.図3に各溶体化処理を施した試験片の表面SEM像を示す。両合金ともに白色粒子が観察されるが、最終溶体化温(a):低倍率,(b):高倍率.3.実験結果および考察 ・ ステップ溶体化処理と人工時効条件本研究では、受け入れ材に対して、4種類の異なる溶体化処理(P1~P4)を施した。通常の溶体化処理として、P1:200℃/hの昇温速度で460℃まで昇温し、460℃で2h保持後に水冷、ステップ溶体化処理として、P2:P1+10℃/hの昇温速度で475℃まで昇温し、475℃で2h保持後に水冷、P3:P1+10℃/hの昇温速度で485℃まで昇温し、485℃で2h保持後に水冷、P4:P2+10℃/hの昇温速度で485℃まで昇温し、485℃で2h保持、さらに10℃/hの昇温速度で495℃まで昇温し、495℃で2h保持後に水冷の4条件を実施した。なお、これらの溶体化処理は空気中で行った。これらの処理における温度と時間関係を図2に示す。各溶体化処理を施した試験片から組織観察用試験片を切り出し、L-ST面を鏡面仕上げした後に、SEMを用いて第二相粒子の観察を行った。得られたSEM像について、画像解析ソフトを用いて、観察面積に対する第二相粒子の面積率を算出した。4視野において測定を行い、その平均値を採用した。また、鏡面仕上げした試験片をケラー氏液によりエッチングを施したのちに、光学顕微鏡を用いて結晶粒の観察を行った。力学特性を評価する試験片については、溶体化処理後に130℃で24hの人工時効処理をオイルバス中で行った。なお、室温時効を避けるために、溶体化処理後はなるべく室温に置くことなく、人工時効を行った。 ・■力学特性の評価人工時効を施した試験片について、力学特性をビッカース硬さ試験と引張試験により評価した。ビッカース硬さ試験では、L-ST面を鏡面仕上げとして測定面とした。荷重4.9N、保持時間10sの条件で各試料について7点の測定を行った。そして、最大・最小を除いた5点の平均値を測定値とした。引張試験は、平行部寸法がw3×L12×t1mmの平滑引張試験片を切り出し、試験片表面を#800まで乾式研磨を行った。そして、実験室大気中室温でひずみ速度1.39×10-3s-1の条件で引張試験を行った。各条件について、3本の試験を行い、破断伸びが最小となったものを除いた2本について、引張強さと破断伸びの平均値を採用した。また、引張試験後の破面はSEMを用いて観察し、破壊形態を調べた。度が高くなるにつれて、その数は減少する傾向にある。しかしながら、粗大な白色粒子は最も溶体化温度が高いP4においても残存している。これらの粒子は、Al7FeCu2相と推定される。また、共晶融解が生じた形跡はいずれの条件でも観察されなかった。両合金ともに図4にはエッチングを施して光学顕微鏡で観察した結晶粒組織を示す。両合金ともに、溶体化温度が最も低いP1の処理においても、再結晶した組織となっていることがわかる。図中の黒い点は、第二相粒子がエッチングにより脱落してできた穴であり、図3のSEM像と同様に溶体化処理温度が高くなるにつれて、その数は減少している。図5にはこれらの画像から算出した第二相粒子の面積率と平均結晶粒径を示す。両合金ともに、P1が最も次第に相粒子の面積率が多く、溶体化処理温度が高くなるにつれて、面積率は低下していく傾向にあることがわかる。一方で、結晶粒径は溶体化処理温度が高くなるにつれて、粗大化していくことがわかる。これは到達温度が高いほど、再結晶後の粒成長が進んだためと考えられる。以上のことから、本研究で適用したステップ溶体化処理により、未固溶の第二相粒子の量を減少させることができたが、結晶粒径は粗大化していくことがわかった。ここで、合金元素添加量に着目すると、4.5Zn合− 381 −

元のページ  ../index.html#383

このブックを見る