キーワード:鍛造,トライボ特性,摩擦係数 5° 3.研究成果 表1 実験条件 図1に外周を拘束しないテーパープラグ通し試験法の模式図を示す.試験片にテーパープラグを押し込み,内径15 図1. 外周を拘束しないテーパープラグ通し試験の模式図 表2 FEM解析条件 1.研究の目的と背景 塑性加工におけるトライボ評価試験法では,摩擦係数や焼付き量,摩耗量が測定され,高性能な潤滑剤や硬質皮膜の開発,型材の選定に利用されている.特に,鍛造や押出し加工では,面圧が高く,型-材料間の摩擦が成形荷重や製品の精度に強く影響する.そのため,工程設計のシミュレーション解析では,適切な摩擦係数の入力が求められる.そこで,トライボ評価試験法とFEM解析を用いて,型と材料間の摩擦係数が推定されている. 摩擦係数を一定としたFEM解析より,摩擦係数ごとの成形荷重や素材の形状変化から較正線図を作成する.その線図と実験の結果を比較して,工具と試験片間の摩擦係数が推定される.FEM解析とトライボ評価試験法を用いて,工具と試験片間の摩擦係数を推定することに関して,Maleら1)のリング圧縮試験,それに関連して,久能木2)は,軸方向の中空圧縮の詳細な変形をスラブ法で解析を行った.工藤3)は,上界法で内径変化に対する摩擦の影響を解析した.長いすべり距離の試験には,王らの据込み-押出し式の試験4),Dubarらの据込み-滑り試験5),Grocheらの据込みスライド試験6)がある.さらに大きな表面積拡大を伴う試験として,ZhangらのT形圧縮試験7),五十川らのスパイクテスト8),鷺坂らの前後方押出し試験9)が挙げられる. 本報告書では,鍛造用トライボ評価試験法である外周を拘束しないテーパープラグ通し試験法10)でのテーパープラグと試験片間の摩擦係数を推定した. 2.実験方法 を押し拡げる.テーパー半角を大きくすると試験片への変形量が増加し,厳しい加工条件になる. この試験法では,試験片外周をコンテナで拘束しない.そのため,テーパープラグと試験片間のみに摩擦が発生する.表 1に実験条件を示す.テーパープラグの材質はSKD11,最大直径16.67 mm, 半角5ºである.試験片の材質はA1070-T1,外径×内径×高さ=50×15×50である.潤滑剤は,牛脂+黒鉛を用いて,テーパープラグと試験片内面に十分に塗布する.テーパープラグの押込速度は0.1 mm/sである.表 2に解析条件を示す.解析ソフトはsimifact.formin 2021を用いる.テーパープラグと下型は剛体,試験片は剛塑性体である.豊田工業高等専門学校 機械工学科 (2019年度 奨励研究助成(若手研究者枠)AF-2019039-C2) 准教授 淺井 一仁 試験片室温牛脂+ 黒鉛0.1 mm/s 剛塑性体,A1070外径×内径×高さ=50×15×50, 20ºCクーロン摩擦係数0.1 mm/s テーパープラグテーパープラグと試験片間の摩擦係数には,クーロン摩擦係数を用いる. テーパープラグSKD11, 最大直径16.67 mm,半角5º, 室温試験片A1070-T1,外径×内径×高さ=50×15×50潤滑剤押込速度テーパープラグ剛体, 最大直径16.67 mm,半角5º, 20°試験片摩擦係数押込速度3・1 FEM解析での荷重ストローク線図 図2にFEM解析でのテーパー半角5ºの押込荷重線図を示す.テーパープラグと試験片間の摩擦の増加に伴い押込荷重は増加する.ストローク10 mm程度で,幾何学上,テーパープラグと試験片の接触面積が定常になる.テーパープラグと試験片間の摩擦が低い時,荷重はストローク10 mm以降からほぼ定常となる.摩擦が高くなると非定常になる.大きな摩擦は,前方にせん断変形を起こし,その局部的なバルジングが穴径を小さくする.それにより摩擦16.6750− 365 −潤滑性能評価試験法における工具-材料間の 摩擦係数推定に関する研究
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