𝜎𝜎0.2■ キーワード:成形限界応力,穴広げ,軟鋼板 s0sy / e p0 =0.2400sx / s0𝛼𝛼* 自動車部品の加工コスト低減のためには,トライ・アンド・エラーレス生産の実現が必須であり,それを可能とするために成形不良予測に用いるプレス成形シミュレーションの高精度化が望まれる.プレス成形シミュレーションにおける予測が難しい成形の一つに伸びフランジ成形中の割れがあり,実験・計算の両面から多くの研究がなされてきた1)-8).桑原ら3)-6)は,冷延軟鋼板,アルミニウム合金板,590MPaおよび780MPa級高張力鋼板を対象として,二軸引張特性を高精度に表現可能な材料モデルを構築し,穴広げ成形解析を行った.その結果,材料モデルが穴縁における塑性変形の予測精度に大きく影響することを明らかにした. 成形シミュレーションにおける材料の破断判定手法として,成形限界線(FLC)が広く用いられている.成形限界線とは,局所くびれが生じた瞬間のひずみ成分をひずみ空間上にプロットしたものであり,FLCにひずみが到達した瞬間に割れが生じると定義する.しかしながら,FLCは経路に依存し変化することが知られている.一方,成形限界に達したときの応力を応力空間にプロットした成形限界応力線(FLSC)は材料が等方硬化を示す時,経路に依存しないことが報告されている9),10).Panichら7)は,Marciniak–Kuczyński(M–K)成形限界解析11)によってFLSCを決定し,それに穴広げ成形解析から得られた応力経路を重ね合わせることにより,FLSCによって,穴広げ成形における破断が精度よく予測可能であることを明らかにした.しかし,材料モデルは,単軸引張試験,液圧バルジ試験および板厚方向圧縮試験結果に基づいて決定したYld20000-2d降伏関数12)であり,供試材の二軸変形特性の考慮は十分ではない.筆者ら13)はM-K解析の高精度化のためには,二軸引張試験結果に基づいた降伏関数の適用が不可欠であることを明らかにしている. 本研究では,FLSCに基づく破断予測のさらなる高度化を目的とし,二軸応力試験14), 15)に基づく降伏関数により計算されたFLSCを用いた穴広げ破断予測を行い,その精度を検証する.さらに,FLSCを用いた破断予測のさらなる実用化のためには,有限要素解析ソフトウェアにFLSCを組み込み,容易に破断判定をできる必要があることから,FLSCの定式化方法を検討した. 東海国立大学機構岐阜大学■工学部機械工学科■( ■■■年度奨励研究助成(若手研究者)■■■ ■■■■■■■■ ) 助教■箱山■智之■2.成形限界応力曲面を用いた穴広げ割れ予測 1.研究の目的と背景 Experiment Yld2000-2d表表 1 供試材の機械的性質 ・■■材料モデリング■供試材は公称板厚1.2 mmの冷延軟鋼板(SPCE相当)であり,機械的性質を表表 1に示す.以下,異方性の主軸として圧延方向をx軸,圧延直角方向をy軸,板厚方向をz軸とする. 二軸応力を受ける供試材の加工硬化特性を定量的に評価するために,十字形試験片を使用した二軸引張試験14),および円管試験片を使用した二軸バルジ試験15)を行い,等塑性仕事面16),17)を測定した.まず圧延方向(RD)単軸引張試験において,基準となる対数塑性ひずみ𝜀𝜀0pに達した瞬間における真応力𝜎𝜎0とそれまでになされた単位体積あたりの塑性仕事𝑊𝑊0を測定する.他の応力経路においては,𝑊𝑊0と等量の塑性仕事が消費された時点の応力(𝜎𝜎𝑥𝑥,𝜎𝜎𝑦𝑦)を測𝜎𝜎𝑥𝑥:𝜎𝜎𝑦𝑦= 100, 401, 201, 403, 101, 304, 102, 104, 001である.定し,主応力空間にプロットし,その集合をもって等塑性仕事面を決定した.等塑性仕事面を測定した応力比は図図 1 等塑性仕事面とYld2000-2d降伏曲面の比較.応力は相当応力𝜎𝜎0で無次元化. Tensile direction/° 0 45 90 *Approximated using 𝜎𝜎=𝑐𝑐(𝛼𝛼+𝜀𝜀p)𝑛𝑛 at 𝜀𝜀p=0.002~0.094. **Measured at uniaxial nominal strain 𝜀𝜀N=0.1. c* /MPa 622 621 634 /MPa 153 161 162 0.326 0.327 0.346 1.51.00.51.00.5n* r** 0.011 0.013 0.016 1.85 1.93 2.82 1.5− 341 −成形限界応力曲面を用いた 自動車用軟鋼板の穴広げ割れ予測手法の開発
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