助成研究成果報告書Vol.35
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図9 高時間分解能での可視化結果によるディンプル径・深さ違いでの液滴微粒化・挙動の観察結果 (撮影速度 150,000fps, 試験材温度270℃,衝突前の液滴径70µm) 1) 前川 弘吉, 大角 和生, 藤田 哲也, 板垣 裕, 佐藤 薫, SCR 触媒の尿素分解過程がNOx 浄化性能に及ぼす影響, 自動車技術会論文集, 2013 年 44 巻 2 号 p. 275-280, (2013) 2) Leidenfrost, J. G., De Aquae Communis Nonnullis 3) 杉山直輝, 野原徹雄, 菊池飛鳥, 戸谷友輔, 落合成行, マクロ~メソ~ミクロスケールでの排ガス・液滴挙動の確認-表面テクスチャ加工による微粒化メカニズムの検証-, 自動車技術会論文集, 2020年51巻, 1号,(2020),72. 4) Liang, G. and Mudawar, I., Review of drop impact on heated walls, International Journal of Heat and Mass Transfer, Vol. 106, (2017), 103. 5) 千田二郎,山田耕司,竹内貴一郎,三木英雄:高温壁面に衝突する液滴の変形および分裂挙動,日本機謝 辞 参考文献 衝突による液滴挙動への影響について,Hatakenakaら7)は衝突壁面が粗面の場合に表面にみられる微細な凹凸に存在する沸騰核により生成された気泡が液滴衝突時に急成長し上方向へ液滴を押し上げることで液膜状になることを予測している.そのため本研究におけるディンプル形状での微粒化促進についても類似した現象が生じていると考えられ,ディンプルに液滴が入り込んだ際の生成気泡により噴霧液滴が液膜化し,穴径が大きいほどディンプル部への衝突割合が向上することで噴き上がりによる微粒化を促進していると考えられる.一方,穴径および深さによって微粒化効果が変化した一つの要因として,ディンプルにおけるエアトラップが考えられる.諸貫ら8)は液滴とテクスチャ形状による濡れ性の変化を評価しており,深いもしくは小さい穴径ほどテクスチャに空気が残留しやすくなることで液滴の侵入が阻害されると考察している.そのため本研究におけるディンプルが深い,もしくはディンプル穴径が小さい形状での結果もエアトラップにより液滴の侵入が阻害された可能性も考えられる.これにより噴き上がる挙動が抑制されることで,液滴の表面張力を上回ることができず微粒化効果が低下した要因の一つとして挙げられる.但しある程度のディンプル深さにて垂直方向への微粒化吹き上がりも観察されており,ディンプル深さは浅過ぎず深すぎず,且つ噴霧液滴径よりも大きめのディンプル穴径を施すことが衝突液滴の微粒化に有効であると考えられる. 4.まとめ 本研究では新興国の大気改善を主眼とした尿素SCRシステムの新たな尿素水噴霧液滴の微粒化手法として,衝突壁面へ低出力レーザマーカ加工機を使用したディンプル形状の最適化コントロールを確立した.高速度カメラを用いた微粒化評価の数値化および高時間分解能での可視化結果より液滴挙動を考察し,微粒化制御メカニズムを推定した.得られた知見を以下に示す. (1) YVO4レーザ加工による低コストでの液滴微粒化に特(2) 臨界ウェーバ数による評価から,ディンプルの穴径お(3) ディンプルを衝突壁面に施すことにより,未加工の状Qualitatibus Tractatus, Ovenius (1756). 化した様々なディンプル新規形状の作製を可能とした. よび深さによる微粒化効果の違いを明らかにした. 態よりも気化に有効な手法として確認した. 本研究は,公益財団法人天田財団の一般研究開発助成 (AF-2019215-B2)を受け実施されたものであり,ここに謝意を表します.また,本研究の遂行において共同した菊池飛鳥氏(修士課程・当時)及び杉山直輝氏(博士課程)にも深く感謝致します.東海大学機械システム工学科 高橋俊准教授および同研究室の皆様,株式会社いすゞ中央研究所には液滴噴霧時の挙動解析にて多大なご協力とご助言を頂きました.最後に実験装置についてご協力頂きました株式会社ナックイメージテクノロジー 佐々木 裕康氏,カトウ光研株式会社 小林 賢之氏,テネコジャパン株式会社 鈴木 伸幸氏に謹んでお礼申し上げます. − 335 −

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