助成研究成果報告書Vol.35
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σ 図7に条件1での代表的な液滴挙動の可視化結果を示す.同図のような可視化結果を基に壁面衝突前の焦点液滴を無作為に200粒抽出し,Image J(画像解析ソフト)とFlowExpert 2D(Particle Image Velocimetry:粒子画像流速測定法)を用いて測定した液滴径と衝突速度を式 (1) に代入することで,各試験材における微粒化に必要な各図8に各試験材での衝突前における液滴径および速度表2 実験条件 図6 微粒化促進用ディンプル 形状比較用試験材 図6に本実験に用いた各試験片の諸元,実画像と白色干渉顕微鏡による3次元画像を示す.テクスチャ形状には穴径および深さ違いのディンプルを施している.穴径dは30 μm,60 μm,90 μm,深さhは5 μm,10 μm,15 μmとし,各形状をそれぞれディンプル1から5と定義した.材料には,ミキサーと同様のSUS430を選定し,テクスチャの加工にはYVO₄レーザ加工機(KEYENCE:MD-V9900)を使用した.これらの試験材および実験装置を使用した実験条件を表2に示す.また,実際の車両では尿素水を使用しているが,本実験条件では尿素析出図7 臨界ウェーバ数算定用 可視化撮影判定例 (撮影速度 30,000fps, 試験材温度270℃) による固着や表面微細加工部への目詰まりが発生する可能性があるため,先行研究でも使用されている模擬性の高い精製水を用いた5). 3.実験結果および考察 3・1 臨界ウェーバ数による微粒化効果の評価・数値化 壁面衝突後における液滴挙動の評価・数値化として,慣性力と表面張力の比を表す無次元数であるウェーバ数Weにて微粒化度合いを確認した5).ウェーバ数Weは液滴径Dp [m],液滴の衝突速度V [m/s],液滴の密度ρ [kg/m3],液滴の表面張力σ [N/m]より次式で表される. 液滴のウェーバ数を算出した.本実験では顕微鏡レンズを用いた拡大撮影を行っており,可視化位置によっては液滴同士の合一が起こる.そのため,誤計測の要因となる合一液滴や非焦点液滴は手作業による解析で除外した.また噴霧液滴の温度を20℃,液滴密度ρを998.2 kg/m3,表面張力σを72.8 mN/mとした. の関係を示した実験結果を示す.丸橙色のプロットは衝 突後2粒以上に微粒化した液滴を,菱青色のプロットは衝突後に微粒化しなかった液滴を示す.衝突後に微粒化しなかった液滴において,図8に実線で示したウェーバ数が最大となるプロットを臨界ウェーバ数Wecと定義し,各試験材における微粒化効果を比較する指標とした.一般的に低ウェーバ数(小液滴径且つ低速度)の液滴は微粒化しにくくなることから,ディンプルを施した試験材の臨界ウェーバ数が未加工よりも低ければ,ディンプルによる微粒化効果が高いと言える.図8より,未加工ではWec = 91.8であるのに対しディンプルでは全ての場合で大幅にそれを下回っており,ディンプルによる微粒化促進効果が確認された.またディンプル穴径違いではディンプル3 (d =90 μm, h =5 μm, Wec = 1.2)が,ディンプル深さ違いではディンプル4 (d =60 μm, h =10 μm, Wec = 0.9)が最も臨界ウェーバ数が低下しており,衝突前の噴霧液滴径が40~120µmという一般的によく見られる条件下において,ディンプル形状の穴径と深さによる最適微粒化制御の手法を提示することが出来た. 3・2 高時間分解能による液滴衝突前後の詳細確認 次に,ディンプル形状による低臨界ウェーバ数での微粒化効果が得られた理由について,高時間分解能での可視化結果から考察を行った.衝突前における大粒径の液滴は慣性力が大きく衝突による微粒化が顕著なため,ディンプルによる微粒化効果の評価に適していない.そのため,衝突前の液滴径を70 μmに統一し比較を行った. 図9にその観察結果を示す.未加工では衝突後に微粒化せずに跳ね返るのに対し,ディンプル形状ではディンプル1を除いて,衝突後わずか7 μsにて大きな変形や上We = Dp V 2ρ (1) − 333 −

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