図を示す.既存のミキサープレートは未加工の金属プレ 図1 尿素SCRシステムおよび液滴衝突・微粒化 キーワード:表面微細構造,液滴微粒化制御,低出力レーザ加工,バイオミメティクス,尿素SCRシステム 図2 バイオミメティクス表面微細加工例 東海大学 機械システム工学科 教授 落合 成行 東海大学 総合科学技術研究所 研究員 野原 徹雄 (2019年度 一般研究開発助成 AF-2019215-B2) が加速する中,それらに必要不可欠なトラックや建設機械,農耕機などは乗用車のような電動化が困難とされている.そのため,それらの動力源であるディーゼルエンジンのカーボンニュートラル化として近年はバイオ燃料やe-fuel(大気中や工場で排出されたCO2と再生可能エネルギーにて水から生成された水素の合成液体燃料)等の代替燃料による研究開発も加速している.しかし,代替燃料を使用しても排ガス中にはNOx(窒素酸化物)と呼ばれる光化学スモッグや酸性雨を引き起こす有害物質は含まれており,大幅な排出低減が求められている.これらに対応するための排ガス後処理装置としてNOxを発生させてNOx浄化率の高い尿素SCR(選択還元触媒)システムの搭載が注目されている1). 尿素SCRシステムは噴霧された尿素水をミキサーと呼ばれる特殊プレート壁面に衝突→微粒化→気化を経てNH3(アンモニア)に変化させ,排ガス中のNOxと反応後に無害な水と窒素に変換させている.しかし,始動時や低速走行時における低温域では,噴霧された尿素水がミキサー衝突部の蒸気膜により熱伝達が阻害されるライデンフロスト現象2)により尿素水が微粒化せず気化にかかる時間も増加し浄化率が低下する問題が起きている. そこで本研究では,これまで筆者らが研究してきた軸受などの摩擦低減を目的にしたディンプルや突起などの微細構造を施す表面微細加工3) をライデンフロスト現象が起こる加熱壁面へ施し,衝突液滴の新たな微粒化手法として提案した.排気管内やミキサーの材料片へ,超撥水性の蓮の葉や水分吸収が高いサボテンのとげ等を参考にしたバイオミメティクス(生体模倣)表面微細加工にて液滴微粒化最適デザインを用い,液滴の微粒化制御を促進させた.また,それらの様々な微粒化促進デザインを精度良く加工可能にする新たな印字・微細加工をレーザマーカ加工機に2Dデータ入力するだけで試験材表面へ具現化出来る手法も確立した. 2.実験方法 2・1 バイオミメティックス表面微細加工について 図1に尿素SCRシステムおよび液滴衝突・微粒化の模式 1.研究の目的と背景 経済発展の著しい新興国ではインフラ整備や農業開発ートに液滴を衝突させているため,ライデンフロスト現象下における蒸気層が発生し加熱壁面の熱が衝突液滴に伝わり難く表面張力が優勢になり跳ね返ってしまう.この衝突壁面の特性を変えることにより液滴を微粒化させる新たな手法として規則的な微細構造を施した表面微細加工を筆者らは検討している3).しかしライデンフロスト現象下における表面微細加工の適用事例として,液滴径2~3 mmと大きい核沸騰時における微粒化現象は可視化されているものの4) ,尿素水を衝突させて20μm以下のレベルに分散させるような微粒化制御は他に例が無い.そこで自然界にある植物や生物が有する表面微細構造を参考にしたバイオミメティクス技術を応用し,液滴衝突時の微粒化およびライデンフロスト現象の抑制を主眼に,図2のような様々な表面微細構造を創生している. − 331 −微細構造加工の設計・手法 新興国の大気環境改善のための液滴微粒化コントロールに向けた
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