助成研究成果報告書Vol.35
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図6に,1700℃で焼結したAlN/長尺SWCNT複合材料の電気抵抗率における長尺SWCNTとY2O3の添加量との関係を示す.焼結助剤Y2O3をSDBSに加えて添加すると,1~2wt%のY2O3添加では電気抵抗率はY2O3無添加と比較して低下し,5wt%では上昇した.これは,Y2O3添加では緻密化と粒成長により粒界が減少し,導電経路の形成に寄与したが,CNTは1500℃以上でY2O3と反応して酸化するため,Y2O3添加量が増加し5wt%に達するとCNTと接触するY2O3の量も増加し,酸化するCNTが増えたことで,導電相が減少したことが原因と考えられる.■■図7および8に,図6と同様のサンプルの熱伝導率および相■■■■長尺■■■■■における■■■■分散剤の添加効果■・■図4にはAlNにおける分散剤SDBSの効果も示されている.Al2O3と同様に決して大きいわけではないが,AlNマトリックスに関しても,長尺SWCNT添加量0.2vol%において,SDBS無添加では2.3×105Ωcmであったが,添加することにより1.7×102Ωcmまで低下した.この抵抗率の低下から考えると,AlNにおいても優れた分散効果が得られていることが期待される.図5には,長尺SWCNTを0.4vol%添加したAlN焼結体の破面のSEM観察をしめす.SDBSを添加してもしなくても,長尺SWCNTは凝集状態で分散していることがわかる.AlNの原料粒径が1µmで焼結後に焼く3~5µmまで大きくなっていることから,粒成長過程において,三重点などの多点粒界に移動したものが凝集していると考えられるので,混合時点ではこれらの写真よりは均一に分散していると予想される.SDBSを添加したものと,しなかったものの差としては,やはりSDBSを添加したものの方が,より均一に分散していることがわかる.さらに大きな差としてはSDBSを添加したものの破壊様式として,粒内破壊が多く見られたことにある.恐らく,SDBSを添加することにより,SWCNTの分散がより均一となったため,AlNの粒成長が抑制されたためと考えられる.粒径が大きい場合,粒界にかかる残留応力が大きくなり,粒界破壊を誘発しやすい.それゆえ,SDBS添加の焼結体で粒界破壊が多く見られたことも,やはりSDBSによる分散性の向上を支持していると言える.図■■■■■■■■■■■■%長尺■■■焼結体の破面の■■■観察ff■■ff■■■■■■無添加,ff■■ff■■■■■■添加■■■■長尺■■■■■における■ ■■の添加効果■・■AlNは耐熱性と高熱伝導性を有しているため,電子部品の製造装置の中でも高温で使用できる部品として最も期待されている.AlNの熱伝導性の向上には,AlN粒子内に固溶する酸素を焼結助剤を用いて溶解再析出機構により取り除くことができる液相焼結で緻密化させることが望ましい.先に記したように,SDBSによりCNTの凝集が解消され分散性は改善したが,分散したCNTの影響でAlN粒子の粒成長が阻害され,後述するように密度,熱伝導率はやや低下するという結果になった.図■■■■■℃で焼結した■■■■長尺■■■■■複合材料の電気対密度における長尺SWCNTとY2O3の添加量との関係を示す.CNT添加量の増加に伴い,熱伝導率はやや低下する傾向がみられた.わずかな低下ではあるが,導電相の添加量が増加することで,相対密度が低下する傾向にあり,粒成長も阻害されることから,熱伝導率が減少したと推察できる.しかしながら,粒成長と固溶酸素の除去のためにY2O3を添加したものでは添加量に伴い熱伝導率は上昇する傾向がみられた.同条件にてAlN単相で焼結した試料の熱伝導率は88W/mKであり,AlN/0.1vol%長尺SWCNT/SDBS/1,2,5wt% Y2O3で焼結した試料の熱伝導率は,それぞれ96,109,110W/mKであることから,Y2O3は焼結助剤としての役割を十分に果たし,熱伝導向上に寄与したと言える.AlN粒子の粒成長を液相焼結により促進させ,密度,熱伝導率を改善するために,AlNの溶解再析出に優れた特性を持つ希土類酸化物であるY2O3を添加する実験を行った.Y2O3は,1400℃以降においてAlNの表面に存在するA2O3と反応し,濡れ性の良いイットリウムアルミネート複合酸化物の液相を形成する.AlN粒子は,この液相中で溶解再析出を繰り返し,AlN粒内の固溶酸素を取り除くとともに,粒成長および緻密化を達成する.抵抗率における■■■と■ 添加量の関係− 328 −

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