助成研究成果報告書Vol.35
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3.実験結果および考察分散剤無添加■■■■■■■■■■■■■■複合材料における■■■形状の影響■・ レーザー加工において,CNTがセラミックス中で連続相になることが影響を与えるか調べることを本研究の目的の一つとしている.まず,CNTの異方性形状が連続相の形成に与える影響について調べた.使用したCNTは,従来用いられている多層CNT(従来のCNT,外径20~30nm/内径1~2nm,長さ0.5~2µm,和光純薬工業),およびより異方性の大きな長尺SWCNTである.それぞれのCNT添加量を変化させ,1700℃でHP焼結を行った試料の電気抵抗率を図4に示す.絶縁体であるAlN単相のみで作成した試料の電気抵抗率が7.0×1015Ωcmという高抵抗に対して,従来のCNTを添加したものでは2vol%添加から抵抗が下がりはじめ,3vol%で2.6×102Ωcmとなった,一方,長尺SWCNT添加のものでは0.2vol%添加から抵抗が下がりはじめ,0.3vol%で1.2×102Ωcm にまで電気抵抗率が低下した.一般的に,マトリックスと同程度の粒径で形状異方性のない導電性第二相を添加する場合,20~30vol%の添加で抵抗の低下かが観察されることが報告されている3-5).しかしながら,一次元構造を有する形状異方性が大きなCNTを添加することによって,粒子状導電相に比べ遙かに低添加量で電気抵抗率が低下することが確認された.特に,長尺SWCNTを添加した試料は,従来の多層CNTの10分の1に匹敵するわずか0.3vol%で電気抵抗率が低下している.これは長尺SWCNTがAlN焼結体中において,図1の(a)および(b)に示したように,従来のCNTよりも効率的に導電経路を形成した結果と考えられる.これより,レーザー加工に有利と考えられるカーボンの連続相の形成には,異方性の極度に大きな長尺SWCNTの添加が有効であると考えられる.図■■■■■■■■■焼結体の電気抵抗率に関する■■■■■■■■■■■■・■分散剤の効果CNTは構成原子のほとんどが表面原子であるため,隣接するCNT間のファンデルワールス力による凝集が生じやすくなる.CNTの解凝集および均一分散させる方法として,界面活性剤を添加する方法があり,界面活性剤を分散剤として用いる場合,一般的にイオン性のSDBSやドデシル硫酸ナトリウム(SDS)や非イオン性のポリビニルピロリドン(PVP)が用いられることが多い.本研究においては,CNTを分散させるため,イオン性界面活性剤としては分子中にベンゼン環をもつSDBSを選択した.予備実験より,SDBSに関してはCNT重量の2倍量,PVPに関しては10倍量で良好な分散状態が得られることが確認されている(図3).今回は,Al2O3粉末に長尺SWCNTを0.15vol%を添加して,アルコール中で超音波ホモジナイザー混合した混合粉末をHP焼結し,得られた焼結体の電気抵抗率から用いる分散剤について検討した.表1に,分散剤無添加,CNTの2倍量のSDBS添加,10倍量のPVP添加のものの電気抵抗率と相対密度を表しています.当初の予想に反して,電気抵抗率の差があまり大きくなく,分散剤の効果が顕著に現れるということがなかった.この理由としては,本研究では分散溶媒としてアルコールを用いているため,水溶媒よりもカーボンとの親和性が高かったためと考えられる.しかしながら,相対的に見て分散剤を添加した方が低抵抗化できることが確認できたため,次に分散剤についての比較を考察した.SDBSとPVPの違いに関しては,電気抵抗率ではあまり差がなかったものの,相対密度に関して大きな差が出ていることがわかる.本材料を電子部品製造装置での応用を考えたときに,材料表面に存在する空孔は,パーティクルと言われる不純物の混入を招く最も大きな問題の原因になり得ることが分かっている.このPVPにおける相対密度低下の原因としては,PVPの多量な添加にあるのではないかと考えられる.SDBSに関してはわずか2倍量であったあたため,影響は出なかったが,10倍量の分散剤は焼結時に分化した残存炭化成分がガス化して気孔を形成していることが予想される.これらの結果を考慮して,以後の実験ではカーボン成分の2倍量のSDBSを分散剤として添加して実験を行った.図■■界面活性剤添加による■■■分散効果表■■■■ ■■■■■■■■■■%長尺■■■■■電気抵抗率■Ω㎝相対密度:%■■■✕■■■■■■✕■■■ ■■✕■■■■■■形状の影響− 327 −

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