に示すように窒素成分を含有する場合(ここでは0.52%),Ti-N平衡状態図が示すようにα+β2相域を伴うため,初析α相がβ→α相変態時に生成するα相の成長を抑制することでα-Ti粒の微細化が進行したと考えられる.また窒素量が増えると,α+β2相域が増大することで上記の効果がより作用することで微細粒化が促進する.他方,単位体積当りの入熱量の減少によって凝固速度がさらに増大することから粒成長が抑制される.なお,上記の組織形成挙動は酸素固溶Ti積層造形体においても確認されており,窒素と同様にα相安定化元素である酸素を含有することで上述した冷却過程でのα+β2相域を通過することによる組織形成機構といえる.図8.冷却過程での相変態を利用した高濃度窒素含有■・ 窒素含有量の制御性(バッチ間の安定性評価)800℃にて10分間加熱の熱処理条件を基本条件とし,同一条件下において6バッチの熱処理を行ない,得られた各CORE-SHELL構造Ti-N粉末に含まれる酸素,窒素,水素,炭素の各成分を定量分析した.その結果,表1に見るようにバッチ間での各元素の含有量の変動は小さく,特に,積層造形後のバルク体の力学特性に影響を及ぼす窒素含有量を厳密に管理できることを確認した.なお,今回は出発原料中の酸素含有量を0.1wt.%以下に低減したTi粉末を使用した.以上の結果よりTi粉末中の窒素含有量を高い精度で制御できる.また,造形過程での粉末供給時の窒素量の均質分布を考えると,Ti+TiN複合粉末を用いた際の給粉時のTiN粒子の脱落問題に対して,本研究で開発したCORE-SHELL構造Ti-N粉末を用いることで窒素含有量を安定化しつつ,均一な窒素分布状態が形成できる.表1. ロット間でのCORE-SHELL構造Ti-N粉末中の窒素含有量の変動量評価(熱処理条件:800℃×10min.)Ti-N系積層造形材における結晶粒の微細化機構■・■窒素固溶現象によるα-Ti結晶構造の変化と定量解析窒素量: 0%, 0.31%, 0.52%の3種類のTi-N積層造形体を対象にX線回折を実施し,その結果よりα-Ti結晶粒におけるa軸とc軸の各方向での格子定数をBragg’sの関係式17)を用いて算出した.これらの値と窒素含有量の関係を図9に示す.先ず,いずれにXRD結果においてもTi2Nの回折ピークが検出されないことからCORE-SHELL構造Ti-N粉末の表面に存在するTi2N皮膜は造形過程において完全に分解したといえる.また回折角2θ=38.4°付近にある(0002)底面のTi回折ピークに着目すると,窒素含有量の増加に伴い徐々に低角度側に移行している.この傾向は(b)に示すc軸方向の格子定数の増加挙動に一致している.つまり,窒素原子が固溶することで底面感覚が増大し,c軸方向に結晶が拡張することで格子定数が増大したと考える.他方,2θ=35°付近の(10-10)柱面の回折ピークはほぼ変化しておらず,この結果はa軸方向の格子定数がほぼ一定であることに一致している.なお,これらの相関は高濃度窒素含有Ti焼結材での固溶による格子定数の変化18)と良い一致示している.図9■(a)純TiとTi-N積層造形材(N量;0.31%, 0.52%)のXRD結果と(b)a軸,c軸方向の格子定数の窒素量依存性■・■引張強度特性と強化機構に関する定量解析最大窒素量が0.7 wt.%までの範囲でTi-N積層造形体を作製し,常温での引張強度特性を調査した.先ず,応力-歪み曲線を図10に示す.窒素量が■■■ ■■■■に達するまで引張強さおよび耐力値は共に増大しており,特に■■■■■までの範囲では破断伸び値は ■■を超えており,純■■材の特性に対して同等以上の高い延性を有する.他方,■■■■においては伸び値が著しく低下することで引張強さや耐力値も大幅に低減していることがわかる.(mass%)OxygenNitrogenHydrogenCarbon<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01<0.01No.1No.2No.3No.4No.5No.6Ave.0.110.080.090.080.090.090.091.181.041.111.071.071.061.09− 311 −
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