助成研究成果報告書Vol.35
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純Ti原料粉末と窒素ガス雰囲気熱処理を2.出発原料粉末とTi-N積層造形体の作製方法量的に解明する.具体的には,窒素成分の均質固溶の可能性,および固溶窒素成分を核とした結晶粒微細化挙動を検証すべく,XRD構造解析による(0002)底面間隔の変化(c軸方向の格子定数変化)とSEM-EBSDによる結晶配向性解析,EPMAによる元素分布解析を行う.また,高濃度窒素含有Ti積層造形体において,結晶粒径・配向性による強化と固溶強化機構に着目して力学特性の定量的解析を行う.後者に際して,本研究者らの既往研究成果に基づき,固溶強化モデルの一つであるLabuschモデル16)を適用して強化量予測を行う. ・■■■■■■■■■■■構造■■■■粉末の作製とその特性Ti-N平衡状態図によれば,α-Ti相には最大23at.%の窒素原子が固溶できることから窒素ガス雰囲気でTi粉末を熱処理して窒素成分を含むCORE-SHELL構造Ti-N粉末の作製を試みた.具体的には,窒素ガスを導入した雰囲気での純Ti球状粉末の示差熱重量(TG-DTA)分析を行った結果,窒素との反応開始温度が約580℃であったことを踏まえ,ここでは熱処理条件を①1000℃-5min保持,②800℃-10min保持とし,管状炉(窒素ガス流量5 L/min)を用いて各100gの窒素含有純Ti粉末を作製した.先ず,図2(a)に条件①で作製した純Ti粉末の外観写真およびSEM観察結果を示す.(a-2)および(a-3)に見るように,アルミナ容器内に充填したTi粉末は窒化反応により金色を呈し,仮焼結した状態であった.但し,篩いにより粉砕することで,(a-4)に見るように粉末状態となったものの,凹凸を有する球状粉末であり(a-5)からも比較的小さい粒子が他の粗大粉末の表面に付着していることがわかる.他方,条件②で熱処理した際の純Ti粉末の観察結果を図2(b)に示す.図2.窒素ガス雰囲気にて熱処理条件:(a) 1000℃-5分と得られた試料は僅かに変色したものの,粉末状態を維持しており,(b-3)のSEM観察結果に見るように微細なTi粒子も独立して存在していた.さらに,レーザ回折散乱式粒子径分布測定装置を用いて両Ti粉末の粒度分布を測定した結果,図3に見るように(a)原料Ti粉末と(b)熱処理条件②を比較すると,顕著な差異は確認されないが,(c)条件①(1000℃)で熱処理を施したTi粉末では2つのピーク(b) 800℃-10分を付与したTi-N粉末の外観写真分布を有すると共に,原料粉末に対して粗大粒であることがわかる.これは図2(a-5)のSEM観察結果に示したように,微細粒子が粗大なTi粉末表面に結合したことで全体として粗大化したことが原因と考える.図3.純Ti原料粉末と窒素ガス雰囲気熱処理を施した次に,各Ti粉末中の酸素および窒素の含有量を分析した.その結果,熱処理前の純Ti粉末ではO; 0.129 wt.%,N; 0.007 wt.%に対して,1000℃-5min保持(条件①)試料において,O; 0.674wt.%,N; 15.14wt.%,800℃-10min保持(条件②)Ti粉末ではO; 0.107 wt.%,N; 1.18 wt.%となった.条件②では,酸素含有量の変化は見られないが,窒素量のみが増加しているのに対して,条件①の熱処理を施した場合,多量の窒素を固溶すると当時に,顕著な酸化反応も進行したと考えられる.ここで,熱処理を施さない原料Ti粉末と条件②で作製した窒素1.18wt.%を含むTi粉末を対象に,断面組織構造をSEM-EDSを用いて調査した結果を図4に示す.図4. 純Ti原料粉末と800℃-10分の熱処理を施したTi-1.18 wt.%N 粉末表層近傍でのSEM-EDS解析結果原料粉末(a)では表面に皮膜は存在せず,窒素分析量も表面から内部に至ってほぼ均一であるが,熱処理したTi-1.18%N粉末(b)の表面は厚さ約1.2 µmの皮膜に覆われており,その領域において窒素成分が濃化していることがわかる.そこで,炉内温度を640~800℃として各温度にて10分間保持することで異なる窒素量を含むTi粉末をTi粉末(b), (c)の粒度分布測定結果− 309 −

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