図2に水の音響インピーダンスと水温の関係を示す。水温60℃において、音響インピーダンスが最大になることが示されている。レーザピーニング実験では水温を80℃まで変化させた。3.実験方法3・1水温変化による音響インピーダンス制御プラズマ閉じ込め層として水を用い、水温を変化させてレーザピーニング実験を行った5)。専用セル底にステンレス板ならびにシリコンラバーヒータを装着し、熱伝導によって、水温を上昇させた。3・2濃度変化による音響インピーダンス制御プラズマ閉じ込め層にグリセリン水溶液を用いて、グリセリン濃度を変化させることによって音響インピーダンスを制御した6)。専用セルにグリセリン水溶液を入れ、水を用いたときと同様に、レーザピーニング処理実験を行った。図3に音響インピーダンスとグリセリン水溶液の濃度との関係を示す。音響インピーダンスはグリセリン水溶液濃度の上昇と主に高くなる。本研究ではプラズマ閉じ込め層の音響インピーダンスを水の温度変化、ならびに水の代わりに用いたグリセリン水溶液の濃度変化によって制御した。双方の実験で用いた光学配置図を図1に示す。レーザ光源として、水に対して透過性の高いNd:YAGの2倍高調波(波長0.53 µm)を用いた。パルス幅4ns、繰り返し周波数は10Hzである。レーザ出力の調整には偏光子ペアと半波長板で構成されたエネルギー減衰器を用いた。半波長板を回転させることによって、発散角、パルス幅等、レーザ特性の変化無に、レーザ出力の任意調整が可能となる。この光学配置においては、焦点距離500mmのレンズ後方に置かれたピンホールによってレーザの集光径が決定される。ピンホール位置の像は光学倍率1/10で試料表面に結像される。本研究では、全ての実験においてピンホール径2mm一定とした。したがって、集光径は200µm一定である。金属試料としてオーステナイト系ステンレス鋼のSUS316Lを用いた。試料の大きさは25×25×5mm3である。試料内部の残留応力、歪を除去するため、全ての試料はレーザピーニング前にアニリーング処理された。試料は専用セル内に入れられた液体のプラズマ閉じ込め層中に挿入され、専用セル内は自動XYステージに装着された。レーザ照射のカバレッジ(重ね打ち率)はXYステージの動作で制御された。レーザピーニングにおいては、佐野らが開発した手法に従い、犠牲層を設けなかった2)。レーザピーニング効果の評価指標として、加工硬化によるビッカース硬度、塑性変形に起因した圧縮残留応力の大きさを採用した。ビッカース硬度計にてレーザピーニング処理済試料の表面を10点測定し、平均値を表面硬度とした。圧縮残留応力はX線応力測定法によって評価された。また、プラズマ閉じ込め層内で発生するキャビテーションバブルの挙動を高速度カメラによって撮影した。高速度カメラの動作タイミングをレーザ照射後より100msまで遅延させ、白色LEDを照明光源としたシャドウグラフ法を採用した。時間分解能は8µsである。図1レーザピーニング実験における光学配置図図2水の音響インピーダンスの温度依存性図3音響インピーダンスのグリセリン濃度依存性− 304 −
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