助成研究成果報告書Vol.35
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図8■フェムト秒パルスレーザーによるガラ4回目と照射を繰り返した結果,照射位置の移動量に従いガラス化部分も広がった.しかしながら,ピークの屈折率は1.31以上に大きくならないことが分かった.これは照射レーザービーム径約5 mmに比べて,ガラス化した幅が4 mm程度しかないため,1回目照射と3回目照射ではビームの重なりが少なかったためと考えられる.膜厚は屈折率が1.05以上の位置について示した.1回目の照射では4mmの幅に対して厚さ約1000 nmでガラス化していることが分かる.屈折率の分布と重ねるとガラス化による凝縮などはなくシリコーンオイルからSiO2へ組成変化(屈折率変化)のみが起こっていることが伺える.2回目照射により膜厚は約2000 nmまで厚くなる.これはスピンコートによる塗布された厚さ(約1 m)がそのまま積層されていることを意味している.しかしながら,3回目,4回目照射では僅かな増加に留まっている.この原因は,シリコーンオイルの塗布方法がスピンコーターであるため約2 mの凸部には十分にオイルが残らなかったこと.また屈折率変化の場合と同様にビームの重なりが少なかったためと考えられる. 図6に微分干渉顕微鏡により観察した積層部分の像を示す.図の下部はシリコンウェハ表面であり,2回目照射と3回目照射の間の位置のイメージである.右から1回目照射,2回目照射と順番に層が重なってガラス化している様子が確認できる. 図7■フェムト秒レーザー照射によるガラス化したシリコーンオイルの屈折率(約50 mJ/cm2,200万パルス) 図6■積層ガラス化したシリコーンオイル 数100 fs以下のレーザーパルスの場合,多数の光子エネルギーを短時間に材料に照射することができるために,材 6.フェムト秒パルスレーザーによるガラス化 ルのガラス化を確認した.スピナーコーターでシリコンウェハ上に約1 m塗布したシリコーンオイルに対して,約50 mJ/cm2のレーザーパルスを200万パルス照射した.照射後,干渉分光法により屈折率を評価した.図7に一次元の屈折率分布,図8に微分干渉顕微鏡による観察像を示す.幅約3 mmにわたりシリコンウェハ表面にガラス化した膜が残っていることが確認できた.注目する点は,ビーム中心(位置28.5 mm)で最大屈折率1.47を得たことである.これは石英ガラスの屈折率とほぼ同じであり,先述のUVレーザー光照射では得られていない.顕微鏡像では,ガラス化した部分の境界がはっきり確認できる.しかし,境界の周りも黒く位相が変わっている部分がある.これはシリコン基板がフェムト秒パルスレーザーにより改質したためと考えられる.波長800 nmの光に対してシリコーンオイルは透明であり,3光子吸収が起こらない低強度の部分11..5511..4411..3311..2211..11112266− 298 −227722882299位位 置置  [[mmmm]]33003311料の持つバンドギャップエネルギーを越えて電子エネルギーを遷移することが可能である.例えば,波長800 nmの光の光子エネルギーは1.55 eV(35.73 kcal/mol)である.3つの光子によりシリコーンオイル内のSi-C結合エネルギー(105 kcal/mol)を越え切断できる. これを確認するために,波長800 nm,パルス幅100 fsのチタンサファイアレーザー装置を用いシリコーンオイス化したシリコーンオイル

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