図11: エタノール中で作製した金ナノ粒子とCaOゲル状凝集体のコロイド溶液を混合して作製したナノコンポジット。(a) それぞれのナノ粒子の作製後に混合したもの。(b) 金コロイド溶液にCaO粉末を分散しレーザーアブレーションをおこなったもの。数値は混合比率 図11bには、金コロイド溶液にCaO粉末を分散した状態でレーザー照射を行った結果を示す。金ナノ粒子の濃度 ■4.まとめと今後の展望 謝■辞■参考文献 3-3.ナノコンポジットの効率的作製条件の探索 図11aに異なる比率で金ナノ粒子コロイド溶液とCaOゲル状凝集体コロイド溶液を混合したものを示す。どちらの比率でも金ナノ粒子はほぼ全てCaOゲル状凝集体に吸着したが、ナノコンポジットの体積は金ナノ粒子の比率が高いほうが減少している。これは、負電荷を帯びた金ナノ粒子の量が増加したことによって中和が進行したことを示している。このような中和の進行は、ゲル状構造の安定性の低下に繋がることから、この結果は、吸着量と安定性を考慮して混合比率を調整する必要があることを示している。 が低い場合にはゲル状構造を保ったナノコンポジットが生成したが、濃度が高くなるにしたがってゲル状構造を保ちにくくなっているのが分かる。これも図11aの結果と同様に、金ナノ粒子によるCaOナノ粒子の中和によって説明できる。一方、同じ混合比率でも、図11bの方がゲル状凝集体の安定性が低くなっていることは、CaO粒子の微細化の過程で金ナノ粒子が存在する方が金ナノ粒子がCaO粒子により均一に吸着するためであると推定される。図11a、bいずれの条件が触媒等の作製に適しているかは、実際の触媒性能によって評価する必要がある。 3-4.他の物質への適用 上記の結果は、正電荷を帯びた粉末をアルコールに分散したものに対してLALを行えば、ゲル状凝集体やナノコンポジットを作製できることを示唆している。そこで、代表的な触媒担体であるZrO2に対して、この方法を適用した。 ることが電気泳動によって確かめられた。しかしながらCaOと同じ条件でレーザーアブレーションを行ったが、2時間照射を行ってもゲル状凝集体の生成は観察されなかった。また、コロイドの外観からは微細化もあまり起きていないようであり、アブレーション効率の低さがゲル状凝集体の生成が起きなかった原因であると考えられる。 今回の研究で得られた結果は、基本的には予想していたゲル状凝集体の生成メカニズムに基づいて説明出来るものであった。また、電荷の由来に関してはより詳しい情報が得られた。特にアルコール種による負電荷付与量の変化はコロイド科学的にも興味深い知見である。 さらに、今回の結果は、ゲル状凝集体やナノコンポジットの作製にレーザーが必須のものではなく、ボールミル等の他の微細化を用いても原理的には可能であることを示唆しており、今後生成量の増加を検討する際に有用となる情報である。 一方、今回の研究期間内では他の材料を用いたゲル状凝集体やナノコンポジットの作製には至らなかった。アブレーション効率の高い材料の探索やアブレーション条件の検討を今後行いたいと考えている。 本課題は、公益社団法人天田財団の一般研究開発助成■ff■■■ ■■■ ■■■■ ■の助成を受けて行われたものである。ここに深く感謝の意を表す。■ 3-1で述べたように、焼成によって正電荷を帯びたZrO2粉末を作製し、エタノール中に分散後も正電荷を保ってい[1] A. Fojtik, A. Henglein, Ber. Bunsen-Ges. Phys. Chem. Chem. Phys., 97 (1993) 252. [2] T. Tsuji, M. Kaneko, M. Fujiwara, D. Atarashi, H. Miyazaki, J. Laser Micro/Nano Eng., 14 (2019) 147. [3] T. Tsuji, T. Mizuki, M. Yasutomo, M. Tsuji, H. Kawasaki, T. Yonezawa, F. Mafune, Appl. Surf. Sci., 257 (2011) 2046. (a)1:9(b)1:9− 294 −1:11:4.51:1
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