図5: 粉末の帯電図6: CaO粉末をメタノール、エタノール、イソプロパノールに分散したコロイドに対して電気泳動を行った後の負極の写真図4にLALを用いたCaOナノ粒子の作製法の基本的なレイアウトを示す。原料CaO粉末は炭酸カルシウム粉末を1000 ℃で1時間焼成して作製した。8 mgのCaO粉末を10 mLのアルコールに分散したコロイド溶液に対して、集光した波長266 nm、出力25 mJ/pulseのナノ秒パルスレーザーを照射した。今回の実験では、溶媒としてエ図4: LALを用いたCaOナノ粒子の作製の基本的なレイアウト図6にCaO粉末を各種アルコールに分散したコロイド溶液に対して電気泳動を行った後の負極として用いたステンレス板の写真を示す。電極板へのCaO粒子の付着量は、イソプロパノール< エタノール< メタノールの順に多くなっており、CaO粒子に付与する負電荷の量がメタノール< エタノール< イソプロパノールの順に大きくなってことを示している。また、図6の結果は、アルコールによる電荷付与がレーザー照射前に既に起きていることを示している。図2の中では、レーザー照射時間と共に中和が進行することから、アルコールによる電荷付与は2.実験方法3.結果と考察で本課題では、ゲル状凝集体やナノコンポジットの生成メカニズムをさらに詳しく調べることにより、より効率的な作製条件や汎用性を示すことを目的とした。具体的には、下記を行うことを当初の目標とした。①CaO粉末の電荷の由来とアルコールによる電荷付与の解析②ナノコンポジットの効率的作製方法の探索③他の材料への応用④ナノコンポジットの触媒能の評価検討の結果、①においてアルコール種によってCaOナノ粒子に与える負電荷の量が変化することを明らかにし、これに基づいてゲル状凝集体の生成メカニズムの説明や生成効率の調整が可能になる、という興味深い結果が得られたので、本論文ではこれを中心に報告する。タノールに加えて、メタノール、イソプロパノールおよびそれらのエタノールとの混合溶液を用いた。金属ナノ粒子を作製する場合は、エタノール中に設置した金属板に対して、集光した波長1064 nm、出力12 mJ/pulseのナノ秒パルスレーザーを照射し、アブレーションを行った。アルコール溶液中のCaO粉末やナノ粒子の電荷およびその量のアルコール種による相対的変化の観察には、電気泳動法を用いた。コロイド溶液中に2枚のステンレス板を設置し、それらの間に100 V/cmの電場を印加し、ステンレス板上に堆積したCaO粒子の量を目視で観察した。3-1.■■■粉末の電荷の由来粉体が摩擦などによって帯電することは良く知られている現象である。そこで本課題で用いているCaO粉末が帯電する段階を調べるために、焼成前の炭酸カルシウム粉末、焼成直後のCaO粉末、容器に移す作業により摩擦が加えられたCaO粉末の電荷を、帯電したポリエチレン膜への吸着によって観察した。その結果、CaO粉末は焼成段階で正に帯電することが明らかになった(図5)。詳しい帯電のメカニズムは不明であるが、酸素雰囲気下で焼成を行った場合は帯電量が減少する傾向が見られたことから、焼成過程で一部の酸素がO2-として脱離することが原因であると推定している。また、焼成過程における帯電は、ZrO2粉末でも観察された。3-2.アルコール種による負電荷付与量の変化以前の研究で筆者らは、いくつかの有機溶媒中でLALを用いて作製された金ナノ粒子の負電荷量が、有機溶媒の種類に依存することを明らかにしている[3]。そこで、本課題では、アルコール種によるCaO粒子への負電荷付与量の違いを観察した。レーザー照射と何らかの関係があると推定していた。ところが今回の結果は、電荷付与がレーザー照射とは無関係であり、アルコールが固体に吸着した際に起こるものであることを示している。さらに、アルコールのアルキル鎖長によって系統的に付与量が増加することも明らかになった。図7に今回の結果に基づいて推定したレーザー照射による中和の進行のメカニズムを示す。ここで、CaO粒子焼焼成成前前焼焼成成直直後後MeOHEtOHCaCO3CaOIPA− 292 −
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