助成研究成果報告書Vol.35
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図1: レーザー照射中のCaOコロイドの変化(下段はゲルが生成する時間帯を詳しく観察したもの)図2: 推定されるCaOゲル状凝集体の生成メカニズム図3: CaOゲル状凝集体と白金ナノ粒子コロイドの混合による白金-CaOナノコンポジットの作製を帯びたゲル状凝集体に、エタノール中でLALを行って作製した、負電荷を帯びた金や白金のナノ粒子を混合すると、静電引力によって金属-CaOナノコンポジットが生成した(図3)。このようなナノコンポジットは、触媒として利用できる可能性があるが、これをコロイドの本質的な性図2に当初予想したゲル状凝集体の生成メカニズムを示す。鍵となるのは、①CaOナノ粒子が原料CaOを焼成によって作製した際に生じた正電荷を帯びていること、および②以前の研究結果から、エタノール中でLALを行うと、生成するCaOナノ粒子にはエタノール(電離によって生じたイオン体)が吸着し、負電荷が付与されると考えられること、である。つまり、ゲル状凝集体は、CaOナノ粒子の正電荷がエタノールの吸着によって部分的に中和(正に帯電)++++++++++++++++++++++++CaONPs1.研究の目的と背景LALにおけるナノ粒子の生成は、ターゲット材料の液中での蒸発、凝固によって起きるため、生成したコロイドキーワード:レーザーアブレーション,ナノ粒子,コロイド液中レーザーアブレーション(以下LAL)は、レーザーアブレーションを液中に置かれたターゲットに対して行う方法である。液中では、アブレーションによって噴出した物質が液体によって冷却されて凝固し、コロイド状のナノ粒子を形成する。このため、現在LALは、コロイド状ナノ粒子の新規作製方法として知られている[1]。LALが注目されている最大の理由は、操作の簡便性と材料種に対する高い汎用性であるが、作製されたナノ粒子、およびそのコロイドとしての物性にも特徴がある。には、基本的にはターゲット材料のナノ粒子と溶媒のみが含まれる。このため、LALで作製したコロイドを用いると、ナノ粒子の電荷などの物性を、他の物質の干渉を受けずに観察することができる。また、溶媒に何かの物質を添加した場合、その物質のナノ粒子への電荷付与や反応への影響を、他の物質の干渉を受けずに観察することが出来る。最近筆者らは、エタノール中に分散したCaO粉に対してLALを行ったところ、生成したCaOナノ粒子が、このような特徴によって、極めて興味深い現象を示すことを見出した[2]。図1にCaOコロイド溶液にレーザー照射を行った際のコロイド溶液の外観の変化を示す。照射開始後約30分間は、粒子の微細化の進行によってコロイド溶液の濁度が増加するのみであったが、35~45分の間にゲル状の外観を有する物質が浮遊する状態へと急激に変化するのが観察された。このような急激な変化から、このゲル状物質は、レーザーアブレーションによって生成したCaOナノ粒子が弱く凝集して生成したものであると推定された。されることによって起きたと推定される。さらに、正電荷島根大学大学院自然科学研究科( ■■■年度一般研究開発助成■■■ ■■■ ■■■■ )准教授辻剛志質を利用して極めて簡単に作製できることは、グリーンイノベーションの観点からも価値があると考えられる。そこ①正電荷を帯びたCaO粉末− 291 −ゲル状構造体②エタノール(EtO-)の吸着,粒子の部分的中和混合ナノコンポジットナノ粒子の弱い凝集Laser ablationエタノール中で作製した白金ナノ粒子(負に帯電)Laser ablation++++++++++無機物■金属ナノコンポジットの新規作製法の開発液中レーザーアブレーションの特性を活用した

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