助成研究成果報告書Vol.35
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図8■ (a) フレネルロムの内部フレネル反射の原理, (b) 軸対称波長板の内部フレネル反射の原理 図7■ベクトルビーム変換と偏光状態検出 図8は軸対称波長板の原理である.図8(a)は一般的に知られるフレネルロムである.光源から出た光は偏光子を通って 45 の直線偏光となる.偏光の水平垂直成分が 0 のフレネルロムに入射すると,内部フレネル反射によって位相差  が生じる.フレネルロム上で 4 の反射があるので,トータルの位相差は  = 4 である.ここで得られるビームプロファイルは入射ビームプロファイルと同じのガウスビームである. ■■ 図9■幾何学的位相を制御することによるベクトルビーム発生の光学系 ■3.ベクトルビームの生成 ■・ ■実験結果■本節ではベクトルビームへの変換について簡単に述べる.ベクトルビームを発生させるには,螺旋型光学素子や空間光位相変調器 [spatial light modulator (SLM)] などが用いられる.このとき,光渦を発生させることは容易である.しかしながら,幾何学的位相を制御することで,幾何学的位相をゼロにすることは難しい.幾何学的位相がゼロでないときは,ベクトルビームは光渦になっていることを意味する.したがって,幾何学的位相を制御し,アジマス偏光やラジアル偏光を発生させることは,自在にベクトルビームを制御することを意味する.これまで,テラヘルツ領域で幾何学的位相を制御,6,7) 中赤外領域における高エネルギーの光渦への変換,8) ベクトルビームを含む偏光状態のシングルショット解析法を開発してきた.6) これらの結果を組み合わせることで,幾何学的位相が制御されたベクトルビームを発生した.図9は幾何学的位相を制御できるようにした光学系である.簡単に述べると,ある幾何学的位相をもつ光渦を発生させた後,それとは逆の幾何学的位相を持つ光渦を発生できる部分を設け,光渦成分をキャンセルすることで幾何学的位相がゼロのベクトルビームを発生させる.これにより,光渦状態を生成したり,渦状態を打ち消したりすることができる.■アジマス偏光とラジアル偏光の幾何学的位相の有無(渦成分の有無)での幾何学的位相の 次元分布と角度分布を調■・■■はじめに■ベクトルビームを生成し,偏光状態を評価するため,2D検出器で偏光状態を評価した.ベクトルビームは軸対称に変調した.図7はベクトルビームを発生し,偏光状態を検出する光学系である.レーザービームは偏光子を透過し,軸対称波長板に入射した.軸対称波長板の複屈折位相差は 90 +  () である.ここで, () は複屈折位相差 90 からのずれ量,つまり,波長依存性を表している.ここで, は波長である.偏光子と軸対称波長板によって発生する軸対称偏光変調は,ミュラー行列計算によって計算した.レーザービームは,最初の偏光子により 0 の直線偏光である.この直線偏光のストークスベクトルは S0 と表すことができる.このストークスベクトルは,0 の直線偏光 I0 と90 の直線偏光 I90 の和を表す s0 成分,0 の直線偏光 I0 と 90 の直線偏光 I90 の差を表す s1 成分,S0 = (1, 1, 0, 0)T と表すことができる.4,5) これに対して,図8 (a)に示したフレネルロムを光軸に対して回転対称体にしたものが軸対称波長板である.図 8(b) に示すように,軸対称波長板に 45 の直線偏光を入射する.ビームは内部円錐面にてコーン状に反射し,側面でリングビームが形成される.これが右側の円錐台の側面に反射した後,右側の内部円錐面でコーンビームが集光され,ドーナツ状のリングビームになる.ドーナツ状のリングビームの偏光は角度によって異なる. ■− 279 −

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