助成研究成果報告書Vol.35
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■ ■ 図2■ナノ秒シード光の予備増幅出力特性■図2は,シード光の出力と予備増幅最終段における光 −光変換効率である.横軸は予備増幅最終段のマルチモード LD の励起パワー,縦軸の左軸は予備増幅された種光の出力,縦軸の右軸はマルチモードLDの励起パワーから1030 nmパルス種光出力への光 −光変換効率である.Yb添加ダブルクラッドファイバーを励起するマルチモードLDの励起パワーが増加するとともに波長1030 nmパルス種光の出力も線形的に増加し,本実験では約0.8 Wの出力を得た.したがって,光 −光変換効率はほぼ一定であり,約10%であった.このパルス種光をYb:YAG細ロッドによる増幅実験に用いる際には,図3に示すようにファラデー回転子により戻り光対策をした上で,Yb:YAG細ロッドに入射した.このときの入射パワーは約0.4 Wであった.■■図3■Yb:YAG細ロッドによる高出力化■図1■ナノ秒シード光発生部と予備増幅 た.パルスエネルギーを増幅するために有効な手段の一つの薄ディスク再生増幅法は高出力化に適しているが,光学配置が大きくなる上,ポッケルスセルの結晶にダメージが入ることを防ぐ観点から,パルスエネルギーを大きくしにくい.薄ディスク状媒質からロッド状媒質に変更し,高繰り返しパルスレーザーを実現することも一つの有効な手段になり得るが,増幅特性などの報告例は限られていることから,増幅特性を詳しく調べる必要がある.例えば,薄ディスク再生増幅器では,1 W 弱の出力を得ているが,パルス幅は 5 ps 前後であり,短パルスすぎるため,非線形波長変換ではダメージのことを常に気をつけなければならない.薄ディスクは媒質長 l が短いため,冷却しやすく,何度もレーザー媒質を往復させることで種光を増幅する.そのため,再生増幅に向いている.一方,ロッドは媒質長lが長いため,1 回から数回通すだけで種光を増幅する.一方,冷却が難しいため,熱レンズ効果によりビームパターンが乱れやすい問題がある.しかし,励起パワーを低く抑えることで,熱レンズ効果を抑えられる可能性がある.したがって,薄ディスク再生増幅器は一つの有効なレーザー増幅の形態ではあるが,古典的なロッド増幅法も冷却と繰り返し周波数に注意して扱い,レーザー増幅に使える可能性がある.細ロッド増幅法実証されており,30 W 以上の増幅も可能である.1) また,2 段増幅と理論的検討をした例もある.2) したがって,ロット媒質も増幅に適している.ロッド増幅は古典的な方法であるが,本研究では,ナノ秒領域でレーザー増幅を目指していることから,詳しく調べる必要がある.  ・ ■実験装置■レーザー増幅実験に必要となる波長1030 nmの種光(シード光)パルスの発生部(発振部)について述べる.図1は,種光発振部の構成である.波長が1030 nmのCW LDからシングルモードファイバーでCW光が出力される.このCW光を半導体光増幅器SOAによりパルス変調した.SOAドライバーにはPCが接続されており,専用のソフトウェアでパルス幅と繰り返し周波数を変化させることができる.本研究では,PC上でパルス幅を4 ns,繰り返し周波数を5 kHzに設定した.この段階でパルス光が発生するが,光強度が弱いため,Yb 添加シングルモード利得ファイバー(長さ 60 cm,120 cm)の2つで予備増幅した. Yb:YAG細ロッドには数10 Wから300 W近いCW励起光を入射するため,熱エネルギーが蓄積される.Yb:YAGレーザー媒質はセラミックであるが,ガラスに近い特性をさらに,Yb添加ダブルクラッドファイバーにより予備増幅した.ビーム品質とスペクトルを維持しながら出力も得るため,3 段の予備増幅段を設けた.予備増幅段をこの出力を種光とした. 有するため,放熱されにくい上,表面積も小さいことから,熱エネルギーが蓄積される.高温になると内部圧力が上がり,破壊に至ることから,強制的に除熱する必要がある.− 277 −

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