図 2.本研究において開発した波長520 nmのレーザー干渉加工光学系.詳細については本文および文献7を参照されたい. 図 3.過去に作製した����の電子位相ホログラムと本研究で新たに作製したホログラムの比較.左図は図1に示した画像を比較のために再掲したもの. 740 nmのうちスリット幅と格子幅が均等に分配されているわけではなく,かなり細い格子構造が実現していることがわかる.レーザー加工の条件を変えることで格子幅を100 nm以下に制御したり,逆にスリット幅を狭く制御することは可能であろうか?この疑問に答え本技法の加工分解能の限界を調査するために,様々な加工パラメータで系統的な薄膜加工を実施した. 図4に,様々な入射レーザーパルスエネルギで加工を施した厚さ10 nmのSiN薄膜のSEM像を示す.2本の入射レーザービームは共に平面波状であり,実現した加工構造はストライプ状の複スリットになった.この結果から,照射パルスエネルギーが大きくなるにつれて,形成されるスリット幅が系統的に大きくなる様子が確認できる.図中最大の6.4 µJのパルスエネルギーを照射した際には格子がいくつか歪み割れてしまっている.これは,試料に用いたSiN膜が加工前にすでに歪み,波打った形状をしていたことが原因であったと考えられる. 得られた実験結果を現象論的に説明するために,照射レーザーの試料面上のフルーエンス𝑭𝑭(J/cm2)とSiN膜のアが生じるしきい値フルーエンス𝑭𝑭𝒕𝒕𝒕𝒕が存在する.試料表面ブレーションしきい値の情報を用いて,図5に示す加工モデルを提案した.材料には固有のレーザーアブレーション上に形成されたレーザーの強度分布のうち,そのしきい値を超える領域では物質が取り除かれ,それ以外の場所では一切の加工・損傷を受けない,という簡単な仮定を導入した.これは本加工が入射レーザー強度に対して非線形な現図4.異なる入射パルスエネルギーで干渉加工した厚さ10 nmのSiN薄膜のSEM像.左上に示した値はそれぞれの加工における入射パルスエネルギー.スケールバーは左列が3 µmであり,右列が500 nmである. 象であることを示している.これに従うと,入射レーザーのパルスエネルギーを調整することで,原理的には無限小さなスリット幅から格子間隔である740 nmいっぱいのスリット幅まで制御できることになる.実際の実験結果ではもちろん有限のスリット幅および格子幅が観測され,その最小値はスリット幅において113 nm,格子幅において43 nmという結果を得た. この実験によって,薄膜のレーザーアブレーション加工において加工形状を決定する主要なパラメータは,材料固有のしきい値フルーエンスと,入射レーザーの試料面上での強度分布の2つのみであることが分かった.そして,しきい値近傍に調整した入射レーザーパルスを用いることで、100 nmに迫る加工分解能が得られることを示された。 − 273 −
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