助成研究成果報告書Vol.35
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図11 Ag–Cu–Ti (No. 4, 5)の高速度カメラ・サーモグラフィーによる溶融状況観察結果図11に,35W 3s加熱後15W→0W 3.42sの出力低下を行ったAg–Cu–Ti(No. 4, 5)の高速度カメラならびにサーモグラフィーによる溶融状況観察結果を示す.Ti 添加率1.68%の場合は冷却時に基板が動かなかったが,Ti添加率2.8%の場合は基板が跳ね上がる現象が観察された.図中f)及びg)は跳ね上がる前後のサーモグラフィー観察結果である.これは,Ti添加率2.8%の場合に生成した厚いCu–TiIMC層が原因でろう材と窒化ケイ素基板の熱膨張係数差による反りが発生し,その後に亀裂が進展した際の4.結論ける黒いコントラストの結晶粒に対応する.A)との比較から,Cu–TiのIMCは徐冷時に成長したと考えられる.ろう材中のTi添加率が最も高い2.8%の場合,Cu–TiのIMCの生成状況はさらに顕著となった.TiN界面反応層の厚さは2µm程度と冷却条件で大きな差は見られなかった.一方,B)に示すTi 2.8% 35W 3s加熱後急冷の場合でも,TiNのろう材側にCu–TiのIMC7)と見られる島状のCuおよびTiの濃化領域が部分的に隣接する領域とつながっており,D)に示す15W→0W 3.42sの出力低下を行った場合はCu–TiのIMC7)層の厚さは約30µmまで増大し,ろう材側に柱状に成長していることが確認された.また,ろう材母相には,約16µmのTi欠乏層が確認された.製中,冷却過程でろう材が窒化ケイ素から剥離した事例も見られた.過剰なTi添加は接合特性の低下につながるため,Tiが界面反応層形成に過不足なく消費される程度の適切なTi添加率を選択することが重要となる.変形復元が原因と考えられる.レーザ急速加熱による活性金属ろう材の溶融挙動・冷却過程と,ろう材組成・凝固組織の相関は以下の通りである.(1)Ag–Cu–In–Tiろう材と窒化ケイ素基板のレーザ急速加熱により,数秒程度の短時間加熱であっても接合界面に厚さ数µmのTiNの界面反応層が形成される.(2)加熱終了後の急冷によりAg–Cu–In–Tiろう材の母相組織は微細化し,冷却速度が遅くなると,母相組織が粗大化するとともにTiNの界面反応層のろう材側Cu–TiのIMC7)層が成長すると,界面の応力分布に影響を与え,強度低下につながることが想定される.試料を作A) Ti 1.68% 35W 3s加熱後15W→0W 3.42s冷却B) Ti 2.8% 35W 3s加熱後15W→0W 3.42s冷却B) Ti 2.8% 35W 3s加熱後15W→0W 3.42s冷却(3)Ag–Cu–Tiろう材と窒化ケイ素基板のレーザ急速加熱においてろう材中のTi添加率が多くなると,TiNの界面反応層に隣接してCu–TiIMC相が成長し,過剰なTiはろう材中にもIMCとして残存する.(4)過剰なTi添加と徐冷により界面近傍に生成する厚さ数十µmのCu–TiIMC相は,残留応力の発生源となり得る.1)佐久間健人:セラミックス材料学, 海文堂(1990).2)矢野経済研究所編:パワー半導体の世界市場に関する3)4)5)6)7)永塚公彬,瀬知啓久,中田一博:スマートプロセス学8)楠見和久,瀬沼武秀,杉山昌章,末広正芳,野崎雅子:に生成するCu–TiIMC相が針状に成長する.本研究の一部は,大阪大学接合科学研究所「接合科学共同利用・共同研究拠点」制度に係る共同研究の一環として行われました.この場を借りて御礼申し上げます.本研究の遂行にあたり熱心なご指導を賜りました,同研究所教授塚本雅裕先生,並びに准教授佐藤雄二先生に深く感謝申し上げます.また,実験に際し多大なご協力を賜りました特任研究員竹中啓輔様,博士後期課程牧野嶋和貴様はじめ塚本研究室の皆様に厚く御礼申し上げます.公益財団法人天田財団からの一般研究開発助成により実施した研究に基づいていることを付記するとともに,同財団に深く感謝申し上げます.調査結果2014, 矢野経済研究所(2014).H. Yamada: Journal of Plasmaand Fusion Research, 90-2 (2014), 152.Y. Nakao, K. Nishimoto and K. Saida: ISIJ International, 30-12 (1990), 1142.J. Watanabe, N. Ohtake and M. Yoshikawa: Journal of the Japan Society for PrecisionEngineering, 58-5(1992), 797.Y. Sechi, T. Tsumura and K. Nakata: Materials & Design, 31 (2010), 2071.会誌,3(2014), 10.新日鉄技報,381(2004), 70.f) 溶融直後謝辞参考文献g) 基板跳ね上がり− 233 −

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