助成研究成果報告書Vol.35
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図8図7 Ag–Cu–In–Ti (No. 1)30W 5s加熱後30W→0W 41.0s冷却試料断面のEPMA面分析結果図4上段に示す30W 5sのレーザ照射後,徐冷した場合の組織については,冷却速度が緩やかになるに従って,ろ図8に,Ti添加率0.4mass%~2.8mass%のAg–Cu–Tiろう材の加熱冷却に用いた温度測定プロファイルを示す.レーザ出力35Wの場合,3秒保持で791℃,5秒保持で921℃に到達した.最高温度到達後にレーザ出力をOFFにした場合,3秒保持,5秒保持のいずれの場合も加熱開始後10秒以内に200℃以下まで急冷された.融点以上に保持される時間は,0.2秒程度の非常に短時間であった.a)反射電子像b)Agc)Cud)In e) Ti f) N g)Siれる.35W3s(溶融状態1.2秒,IMC欠乏層約7µm), 40W 3s(溶融状態2秒,IMC欠乏層約10µm)の場合も同様に,ろう材の溶融状態や溶融継続時間によって界面へのTiの供給量が変化したものと考えられる.う材母相の結晶粒が粗大化するとともに界面反応層に隣接するCu–Tiが針状に成長する傾向が見られた.図7に示す冷却時間が最も長い30W→0W41.0sの場合,界面から約26µmまで伸びており,IMC欠乏層は20µmとなっていた.これは溶融状態が11.2秒継続し,界面付近へのTi供給が増加したことが原因と考えられる.ろう材が溶融した状態で窒化ケイ素との界面近傍にTiが存在すると界面にTiNが晶出する.この晶出よりNのろう材側への拡散が抑制される8)ため,TiNの厚さは1µm程度から成長せず,界面付近に到達したTiはCuと反応し,Cu–TiのIMCであるCu3Tiが形成し,針状結晶が成長したものと推察される7).また,今回実験に用いたいずれの加熱/冷却条件においても,ろう材母相の溶け分かれは観察されなかった.これは,レーザブレージングの昇温速度や冷却速度が炉中ろう付に比べて速いことに起因しており,レーザブレージングでは幅広いろう材組成選択が可能なことを示唆している.3・2ろう材組成と凝固組織の相関前節で,加熱冷却条件によってろう材中のTi残存状況に差が生じることがわかった.そこで,ろう材組成と凝固組織の相関を明らかにするため,溶融温度と凝固温度が同じとなるAg–Cu共晶組成に対して種々のTi添加率のろう材を作製し,加熱冷却条件を変更することでろう材組成と凝固組織の相関を明らかにすることとした.Ti添加率0.8%の場合,いずれの加熱条件でもろう材母相は非常に微細な共晶組織を呈した.これは,ろう材中のほぼ全てのTiが界面反応層形成に消費されたことを示す.また,冷却速度を緩やかにするため,35W3秒保持後に.15Wから0Wまで3.42秒で徐々に出力を低減させる制御を行った場合では,最高到達温度(795℃)から200℃までの冷却に4.4秒を要した.急冷の場合(791℃, 3.4秒)と比べると1秒長くなっており,グラフからも冷却が遅くなっていることが分かる.なお,融点以上に保持される時間は,2.6秒であった.冷却時の傾きは,他の試料の場合と比べて最も急となった.30W5秒保持後に,15Wから0Wまで3.42秒で徐々に出力を低減させる制御を行った場合では,最高到達温度(785℃)から200℃までの冷却に4.6秒を要した.グラフからも冷却が遅くなっていることが分かる.図9に,図8の加熱冷却条件にて作製したAg–Cu–Tiろう材試料(No.2~5)の断面SEM(反射電子像)観察結果を示す.Ti添加率0.4%の場合,35W3s, 5s, 35W 3s加熱後15W→0W 3.42sの出力低下を行ったところ,母相のAg–Cuは非常に微細な共晶組織を呈した.30W 5s加熱後15W→0W 3.42sの出力低下を行った場合には,共晶組織の粗大化がみられた.これは,加熱時のレーザ出力が30Wと低かったため,ろう材中のTiが界面での反応で消費しきれずに母相中に残存してCu–TiのIMCが生成した結果,母相中のAg/Cu比が共晶組成からずれた可能性が考えられる.Ag–Cu–Tiろう材の温度測定プロファイル− 231 −

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