図3a)とb)に示すように,窒化ケイ素基板上面にセットしたろう材部分に相当する位置の温度をK熱電対にて測定した.なお,温度測定はろう材を載せない状態で実施した.c)に示す温度測定プロファイルから,レーザ出力を上げることで,最高到達温度が上昇することを確認した.レーザ出力30Wの場合,5秒保持で785℃に到達し,40W3秒とすることで935℃に到達した.さらに保持時間を5秒とした場合,1021℃まで加熱された.最高温度到達後にレーザ出力をOFFにした場合,3秒,5秒保持のいずれの場合も加熱開始後10秒以内に200℃以下まで急冷された.また,冷却速度を緩やかにするため,30W5秒保持後に徐々に出力を低減させる制御を行った.15Wから0Wまで3.42秒で出力低減した場合では,急冷の場合とほぼ同等の冷却挙動となった.20Wから0Wまでを27.4秒で出力低減した場合,Ag–Cu–In–Tiろう材(No.1)の融点に近い700℃付近までは急冷と同様の挙動を示したが,その後は徐冷となった.出力低減の傾きを同一とし,冷却開始時のレーザ出力を25W,30Wとした場合は,最高到達温度(785~795℃)から一定の傾きで室温付近まで徐冷された.図4に,図3c)の加熱冷却条件にて作製したAg–Cu–In–Tiろう材(No.1)試料の断面SEM(反射電子像)観察結果を示す.さらに図5および図6にAg–Cu–In–Ti (No. 1)ろう材を用い,30W 5s加熱後急冷した試料断面のEPMAによる面分析結果を示す.図6は,図4点線枠部分に対応する高倍率の分析結果である.K熱電対表1 使用したろう材組成Ti1.210.410.851.682.803.実験結果及び考察う材(No.2~5)を用いた.ろう材組成を表1に示す.いずれも0.1mm tの溶製材である.窒化ケイ素基板は,レーザ導光用の穴を有するAl2O3製の試料ステージ上に設置した.レーザ光源には,村谷機械製作所製半導体レーザ(FAM-MBDL-150-WF)を用いた.真空ポンプによりチャンバー(内容積27.5L)内を2Pa未満まで排気し,3NグレードのArガス置換を3回行った後にガス流量5L/min で表2の照射条件にて基板裏側からレーザ加熱を行った.図2実験装置模式図表2 レーザ照射条件波長(nm)ビーム径(mm)雰囲気ろう材の形状観察はチャンバー側面に設けた透過窓を通し,高速度カメラならびに赤外線サーモグラフィーカメラ(FLIR製T1050sc)を用いて行った.温度測定はK熱電対を用いた窒化ケイ素基板上面の直接測定と,赤外線サーモグラフィーカメラによる非接触測定を併用した.2・2作製試料の評価作製した試料について,外観観察ならびに電子プローブマイクロアナライザ(ElectronProbe MicroAnalyzer,以下EPMA;日本電子製JXA–8230)による試料断面の元素分析を行った.作製した試料を低速ダイヤモンド切断砥石で水冷しながら切断し,冷間硬化樹脂に埋込後にエメリー紙#120~#4000による研磨加工を施し,最終的に0.3μmAl2O3粒子を用いてバフ研磨加工を行って断面観察用試料を作製した.3・1冷却過程の制御によるろう材組織の制御図3a)に加熱の際のK熱電対による窒化ケイ素基板上真空チャンバーろう材高速度カメラバルブレーザ光窒化ケイ素基板サーモグラフィー試料ステージ透明石英ガラス窒化ケイ素基板図3温度測定状況と温度測定プロファイル面の温度測定状況,b)にろう材セット状況,c)に温度測定プロファイルを示す.試料ステージa) 温度測定状況b)ろう材セット状況c)温度測定プロファイルろう材窒化ケイ素基板試料ステージNo.12345Ag58.871.571.270.369.6Cu27.428.127.928.127.6ArCWレーザ出力(W)In12.630~409153ArAr融点(℃)710780c)a)b)− 229 −
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