助成研究成果報告書Vol.35
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1.研究の目的と背景キーワード:ナノ粒子,合金,多元素合金金属ナノ粒子の合成と応用は、従前より非常に実用性も高く研究も盛んな分野でありつづけている。筆者らは30年近く前に、パラジウムと白金の水溶性塩の混合物をアルコールで同時に還元することにより、パラジウムシェル、白金コアのナノ粒子を合成できることを見出し、それが水素化触媒に非常に有効であることを示した。1)合金ナノ粒子のさきがけ的な研究であったと自負している。これまでの合金ナノ粒子の合成においては、前駆体となる貴金属塩の混合溶液を還元することによって合成された例が多く、その酸化還元電位に依存して、コアシェル構造や分離型構造をとることがおおかった。(図■)図■■■ff左■コア−シェル型構造ナノ粒子、ff右■二相分離型構造を持つナノ粒子の模式図。最近になって、5元素以上の多元素を等モル量もしくはほぼ等モル量含む固溶体合金が「高エントロピー合金」(High Entropy Alloy, HEA)と呼ばれるようになり、そのバルク材料の興味深い特性が注目され、その研究が世界でスタートした。このHEAは、その相安定性に対する配置エントロピーの寄与が大きいことが特徴で、遷移金属や耐火金属などにおいても高強度・高延性をもつ合金系が多く見出されており、金属材料分野で急激に興味が広がっている領域である。HEAは、強度の特異的な増加、原子の拡散速度の低下、キュリー点のコントロール、熱伝導率の低下などの特徴を示しうる材料となることが期待される。また、Ti基のHEAは純Tiと同等の生体適合性を保ちつつ機械的特性に優れた生体用材料として期待されている。さらには、HEAのミクロンレベルの粉末を合成し、粉末冶金や3Dプリンティングの手法で新しい高強度材料を構築する試みも行われてきている。しかしながら、HEAナノ粒子(例:図 )の合成例はあ北海道大学大学院工学研究院材料科学部門( ■■■年度一般研究開発助成■■■ ■■■ ■■■■ )教授米澤徹図 ■■ハイエントロピー合金ff■■■■ナノ粒子の模式図。 ■まり報告例が申請時までにはなく、カーボン線に金属イオンを担持させ、急熱急冷を行うサーマルショック法が報告されているのみであった。2)しかしながら、HEAのナノ粒子では、多元素を含むという特徴のほかに、原子の拡散が抑制さることから、優れたアンサンブル効果を有する触媒材料になる可能性があると考えられた。一般に貴金属系ナノ粒子触媒は化学還元法や共沈法をベースとして合成されているため、このようなHEAナノ粒子を均一な組成で合成することは難しいと考えられ、急熱法のような特殊な手法でのみ合成できる。しかし、HEAは多くの場合、その融点が低くなっているために、こうした還元反応を利用する化学的方法ではなく、物理的な方法でのナノ粒子合成が容易に行えることが期待される。そこで、我々は、この全く新しい複合多元素合金(HEA)ナノ粒子のレーザープロセッシングによる新規合成手法の確立について検討することとした。図■サーマルショック法で得られた合金ナノ粒子の■■■■■■■■マップによる分析例。 ■− 223 −高エントロピー合金ナノ粒子のレーザープロセッシングによる新規合成

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