助成研究成果報告書Vol.35
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1.研究の背景と目的キーワード:工具サーボ,表面テクスチャ,三次元加工近年,高附加価値デバイスを実現するため,三次元複雑形状の加工の要求が世界的に増大している.表面に微細パターンを有することで特異的な機能を発現した機能性表面は古くから知られており,Bio Inspired Manufacturing と呼ばれる生物模倣のものづくりが世界的にも注目されている.将来的に必ず三次元形状を加工すると同時にその表面に微細パターンを創成する技術が必要となると予想できる.このような状況を考慮すると塑性加工に用いる金型に対しても,単に高精度かつ滑らかな三次元曲面の創成だけでなく,表面にテクスチャのような微細構造を有する三次元曲面を構成することで,製品表面の物理的および光学的特性の制御,製品の意匠性,成型時の離型性および伝熱特性制御など高い付加価値を生み出すことができると考えられる1)2).しかし微細加工技術として,■■■■技術に代表される半導体製造技術は,マスクやフィルムなどを用いることで大面積に対して高能率にパターニングすることが可能であるが,加工対象が平面であることが前提条件であり,金型のような自由曲面に対して微細構造を創成することは困難である.したがって,機械加工で金型の形状と表面テクスチャを同時に創成することが必要となるが,大質量の工作機械送り軸を微細パターンに合わせて軌跡制御する方法ではその慣性が大きなことから応答性が上げられず,長時間を有することとなる.この課題を解決する要素技術として,図■に示すような,圧電素子の代わりに超磁歪素子を駆動要素に用いた工具サーボを提案し■),その動作を確認している.超磁歪素子は磁場印加によりひずみを生じるため,非回転部に固定されたコイルから磁場を非接触で回転部に与えることで,主軸全体を動かすことなく工具近傍のみを局所的に位置決めすることが可能となる.図1提案する工具サーボのコンセプト東京工業大学未来産業技術研究所( ■■■年度一般研究開発助成■■■ ■■■■ ■■■ )准教授吉岡勇人2.工具サーボ適用微細加工システム本研究では,表面テクスチャを有する曲面の高能率創成を目的として,提案する工具サーボを組み込んだ三次元加工システムを構築し,実際にその加工特性について評価を行う.具体的には,通常の位置決め駆動系で加工した場合,および工具サーボを併用した場合の加工面を比較し,その応答性および加工形状について評価を行う.また表面テクスチャを有する球面の加工を行い,その加工結果について評価を行う. ・■超磁歪素子駆動工具サーボ前述したように,本研究では微動アクチュエータとして,超磁歪素子を採用した工具サーボを提案し,その駆動原理および位置決め特性を確認している.具体的な構造は,図■に示すように,エンドミルの付け根付近,すなわちツールホルダに相当する位置に磁場によって微小に伸びる超磁歪素子を組込んでいる.切削回転運動中には,駆動コイルによって磁場を発生させ,超磁歪素子を通過するように構成した磁気回路により回転中の素子へ効率良く磁場を誘導することで,主軸全体を動かすことなくエンドミル近傍のみを軸方向へ精密位置決めを行う.また超磁歪素子は,圧電素子と同様にヒステリシスに代表される非線形特性を有しており,印加する磁場に対してその変位量は一意に定まらないため,このままでは精密位置決めが困難である.本研究では,これらの特性を補償した精密位置決めを行うために,エンドミル工具を中心としたリング形状の静電容量変位計を追加し,工具の微小変位を測定可能としている.この測定変位に基づいてフィードバック制御を行うことで,加工中の工具の精密位置決めを実現している.この変位フィードバックにより,コイルへの印加電流による発熱に起因する熱変位もあわせて補償可能となり,加工中の位置決め精度を向上させている. ・ 三次元加工システムの構成図 に構築した三次元加工システムの外観を示す.加工システムは,水平面内に工具主軸を持った横形3軸マシニングセンタの構造を基本としている.工作物は水平方向のリニアモータ駆動X軸テーブル上に固定され,さらに鉛直方向にボールねじ駆動のY軸で駆動される.主軸には高速かつ高精度な空気静圧主軸を採用し,水平方向に駆動されるリニアモータ駆動Z軸ステージに搭載されている.主軸頭の端面には工具サーボ駆動用のコイルユニットが− 219 −表面テクスチャを有する三次元金型の高能率加工に関する研究

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