助成研究成果報告書Vol.35
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図右列の高倍率写真には円で囲った潤滑剤の残渣がいずれの表面にも認められるが,わずかであった.また例えばクラックに沿って存在したり,表面の凹部に存在するといった特徴は認められなかった.■・■摺動界面の直接観察図■に摩擦試験時のダイスと被加工材の摺動界面を直接観察した結果を示す.しごき加工の開始から■㎜ごとの静止画で被加工材を加熱まま試験を行った場合と加熱後脱スケールして供試した場合とを比較して示す.無潤滑条件下(図■ff■■)と潤滑条件下(図■ff■■)とでまとめた.図中の矢印はしごき加工方向を示している.無潤滑条件下では,摺動距離に伴う酸化被膜の損傷状況がまったく異なった.加熱ままの被加工材ではしごき距離約■■㎜まで酸化皮膜はほとんど動かなかった.ガラス工具と酸化皮膜はすべらず,被加工材の移動は酸化皮膜内もしくは酸化皮膜と被加工材の境界で行われたものと思われる.しごき距離■■㎜ほどで視野の下辺に酸化膜にクラックが発生し,破壊して分離した一部が少しずつしごき方向に移動した.その向こう側(紙面奥)では被加工材の金属表面が所定速度で移動する様子が観察された.一方,脱スケール処理した被加工材の場合,しごき加工開始直後から酸化膜が細かく分断されて明るい被加工材表面が観察できた.その後しごき距離とともに分断の間隔が広がり金属表面の割合が増加した.その後しごき加工の前方に酸化膜が堆積する形で隙間が狭くなって前面に酸化膜が存在するようになり,さらにしごき加工が進むと大きな単位で割れが生じて金属面が観察された.両者を比較すると,加熱ままの被加工材ではしごき加工に伴う摺動面が酸化皮膜と被加工材料の境界で,脱スケールした被加工材ではダイスと酸化皮膜の界面で酸化膜が少しずつ破壊されながら摺動することが分かった.図■摩擦試験時の摺動面の直接観察結果図■摩擦試験時の摺動面の直接観察結果潤滑下の試験では,加熱ままの被加工材の場合無潤滑下同様おもな摺動面は酸化皮膜と被加工材境界で,観察画面での動きはほとんど認められなかった.しごき加工が進むと酸化皮膜にクラックが入って破壊された.破壊された酸化皮膜のサイズは視野内で 分割される程度の大きなものであった.潤滑剤存在下でも接触時から熱のために潤滑剤が溶融して摺動面から排除されるためか,無潤滑の場合と観察結果はあまり違わなかった.しかし摩擦係数は無潤滑時より小さい.これは図■に示したように,詳細に観察すると酸化皮膜は破壊されており,その隙間から潤滑剤が被加工材側に浸み込んでそこで摺動するために摩擦が小さくなったことが考えられる.一方,脱スケール処理材の場合,被加工材がダイスに接触すると潤滑剤が溶融し,沸騰して気泡が発生するが,しごき加工距離が■■■あたりでは写真視野の左辺で気泡がしごき方向に移動する様子が観察された.■■■■から■■■■にかけては破壊された細かい酸化皮膜が一部はダイスに固着し,一部は被加工材と同じ速度で移動した.さらにしごき加工が進むと ■■■付近から細かかった酸化皮膜がせき止められるように堆積するとともに被加工材表面にすじ条痕が発生した.無潤滑下,潤滑下にかかわらず脱スケール材の酸化皮膜のほうがしごき加工に伴う破壊単位が小さくしごき方向への移動が容易に起こることが分かった.このように加熱ままと脱スケールとで酸化膜の機械的な破壊挙動が摩擦試験結果に及ぼす影響が大きいので図■に摩擦試験前の両者の表面を比較して示す.外観上は加熱まま被加工材が鋭角表面で脱スケールのそれは鈍角に見える.表面粗さの値を■■で評価すると脱スケール材のほうが大きい値をとった.一方,表面凹凸の状態(山と谷の対称性)を反映するといわれる■■■でみると脱スケール材は負の値をとっている.このことは摩耗面のように山が− 217 −

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