キーワード:板材成形,応力緩和,粒界面積 ��=���+𝑠𝑠�(𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇)�����+𝑠𝑠�(𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇)����� (1) 力𝜎𝜎�は0 Kまたは𝑇𝑇𝑇→∞での熱的応力を表し, 𝜎𝜎��はひずみの関数として表される.𝜇𝜇 は剛性率,𝜇𝜇0は 0 Kでの剛性1.研究の目的と背景 自動車産業では衝突安全性向上や低燃費化のために軽量化要求が高まり,比強度の高い高張力鋼板の利用が拡大している.しかしながら,強度と延性は相反する特性であるため加工による割れやスプリングバックの発生など成形不良が課題となっている.改善策として,サーボプレス機を用いた加工経路の工夫により成形性を向上できるという報告がある1-3).成形性向上の理由のひとつに応力緩和現象による塑性ひずみの分散が考えられている3).応力緩和現象とは,成形中に金型を停止しひずみ一定で保持すると,時間の経過に伴い荷重が低減する現象である.図1の模式図のように応力緩和現象をFEMに組み込むことで,実成形における最適な加工経路をシミュレーションし,金型速度・金型停止位置・停止時間を適切に制御することで効率的な生産が可能になると考えられる.したがって,FEMに組み込む応力緩和挙動の定式化はサーボプレス機を用いたプレス成形性の大幅な向上に貢献できる.また,新たに要求された合金に対してもFEMにて最適な加工条件を見つけることが可能になると期待される. 応力緩和現象は転位運動の熱活性化過程に支配され,引変形時の流動応力のひずみ速度・温度依存性に依存した関数として統一的に理解できる可能性がある.そこで,研究代表者を含むグループでは式(1)4)に示すKocks-Mecking(KM)モデルを用いて応力緩和現象の定式化を行ってきた 5).(2016年度一般研究開発助成AF-2016032). 図1 研究の位置づけ 本モデルにおいて流動応力は転位の運動を妨げる内部応力項(第一項)と固溶強化項(第二項)および加工硬化項(第三項)の重ね合わせとして表現される.しきい応早稲田大学 基幹理工学研究科 (2019年度 一般研究開発助成 AF-2019016-B2) 教授 鈴木 進補 率である.また 𝑠𝑠𝐼𝐼および𝑠𝑠𝐷𝐷は式(2)のiをIおよびDに置 𝑠𝑠�=�1−���������ln�𝑇���𝑇�������� (2) 𝑘𝑘はボルツマン定数,𝑔𝑔0𝑖𝑖は規格化活性化エネルギ,𝑏𝑏はバーガースベクトルの大きさ,𝑇𝑇𝑇0𝑖𝑖は定数,𝑝𝑝𝑖𝑖, 𝑞𝑞𝑖𝑖は強化機構のき換えて表される. 種類による定数である.このようにKMモデルの各パラメータは物理的意味合いをもっているため,本モデルの発展により変形機構の本質的な理解が深まることが期待される.また,KMモデルでは引張試験の結果から様々な温度・ひずみ速度における応力緩和挙動の予測が可能であり,様々な加工条件でシミュレーションが可能になると期待される.図2に過去に報告5)した応力緩和挙動の実験値と,KMモデルにより求めた予測値を示す.実験値と予測値で近い挙動を示しており,引張試験から応力緩和挙動の予測が可能であることが示された.しかしながら,高い精度が求められるシミュレーションに適用するための予測精度の向上や,各因子の物理的な意味の詳細な検討が必要である. 図2 KMモデルによる応力緩和挙動の予測5) KMモデルの第一項である内部応力iは転位の運動を妨げる成分であり,図3のように転位の運動が強く妨げられる堆積転位や粒界の周辺では局部的な内部応力が大きく なる.KMモデルにおいて内部応力はひずみの関数として表現されており6),塑性変形の進行に伴う転位密度の増加が考慮されているが粒界面積の影響は考慮されていない.内部応力は転位密度だけでなく結晶粒界にも依存することから,図3のように,単位体積当たりの粒界面積(以下粒界面積,SV)の増加にともない,内部応力も増加すると考えられるため,内部応力の粒界依存性に関する研究が必− 206 −板材成形時の応力緩和挙動に粒界面積が及ぼす影響
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