は押出し温度が高いものほど抵抗が高い傾向がみられたが、ゼーベック係数同様に500℃ではその違いは見られなくなった。組織観察から粒成長が見られたSPS試料では違いが見られず、粒径差がほとんどない押出し試料に違いが見られた。図11にSPS試料および押出し試料の熱伝導率の温度依存性を示す。熱伝導率は測定温度の上昇に伴って低下したが高温ではその低下率が低下した。焼結温度や押出し温度による大きな相違はほとんど見られなかったが、SPS試料は熱間押出し試料よりも低い値をとった。また、SPSの450℃と500℃焼結試料は高温でも低下率の変化が小さかった。図11熱伝導率の温度依存性(a) SPS試料(b) 押出し試料図12にSPS試料および押出し試料のZTの温度依存性を示す。SnSeは中温度域での熱電性能が高いため測定温度400℃以上でZTが大きく上昇している。ゼーベック係数、電気抵抗率が低温では各試料で差が見られたが高温になるにしたがって収束しており、特に500℃ではその違いがほとんどなくなっていた。そのため、ZTに見られる差異は熱伝導率を反映していると考えられる。SPS試料では450℃、500℃焼結試料の熱伝導率が測定温度350℃以上でも低下し続けたことを反映して、ZTが350℃以上で上昇している。一方押出し試料では熱伝導率が350℃押出し試料だけがわずかに小さかったため、ZTもほかの試料よりもわずかに高い値を示した。SPS試料では焼結温度が上昇するとZTが低下したのは結晶粒成長と密度の低下が原因だと考えられる。押出し試料は押出し温度にかかわらず結晶粒径の大きさにあまり変化が見られないためZTに及ぼす押出し温度の影響が小さいことが分かる。SPS試料では焼結温度450℃試料において最大でZT=0.81が得られ、押出し試料では押出し温度350℃試料において最大でZT=0.62が得られた。SPS試料が押出し試料よりも高いZTの値を示したのは、熱伝導率が低下したことが主な原因だと考えられる。測定温度を550℃以上にすることでさらにZTの値が上昇する可能性はある。実際、SnSe単結晶の500℃におけるZT値はa軸、b軸、c軸でそれぞれ、0.45、1.5、1.2であり、最大のZT値は650℃で観察されたものである。しかし、500℃を越える高温ではSnSe結晶は熱分解によりSeの昇華が起こることが報告されており9)、本研究では500℃までしか熱電特性の測定は行っていない。(a)(b)(a)(b)図13平行断面および垂直断面のビッカース硬さ図12熱電性能指数ZTの温度依存性(a) SPS試料(b) 押出し試料(a) SPS試料(b) 押出し試料(a)(b)− 204 −
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