助成研究成果報告書Vol.35
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(4) AD法で作製したAl2O3膜およびTiN膜は,いずれの膜においても膜の靭性はAIP法により作製したTiN膜よりも低いことが見出された.しかしながら,AD法で作製したTiN膜の摺動特性は,AIP法により作製したTiN膜よりも高く,優れた膜の可能性があることが見出された.以後,AD法により作製した膜の摺動特性の優位性を維持しながら,いかに靭性を向上させるかについての検討が求められる. 1) S. Ruppi, Surf. Coat. Tech., 202 (2008) 4257-4269. 2) M. Hasegawa, K. Akiyama, Y. Oki, M. Tanaka, S. Kitaoka, Y. Kagawa, Mater. Trans. 57 (2016) 1714-1719. 3) K. Pawlik, J. Pospiech and K. Lüche, Text. Microstruct. 14 (1991) 25–30. 4) F. Cao, H. Park, J. Heo, J. Kwon and C. Lee, J. Therm. Spray Technol. 22(2013)1109-1119. 5) H. Park, J. Kim, S. B. Lee and C. Lee, J. Therm. Spray Technol. 26(2017)327-339. 6) J. Akedo, J. Am. Ceram. Soc. 89(2006)1834-1839. 7) H. Conrad, J. Narayan, K. Jung, Int. J. Refrac. Met. Hard Mater. 23 (2005) 301-305. ため,AIP法にて作製したTiN膜よりも摺動特性に優れていると考えられる.球圧子の押し込み試験では,AIP法により作製したTiN膜では膜の剥離は見られなかったが,AD法により作製したAl2O3膜やTiN膜では膜が大きく剥離した.これらのことから,膜としての靭性はAIP法により作製した膜の方が高いが,摺動特性としてはAD法で作製したTiN膜の方が優位であり,従来用いられているAIP法により作製されたTiN膜よりも優れた摺動特性を持つ膜が作製できたと考えている.今後は,AD法により作製した膜の摺動特性の優位性を維持しながら,いかに靭性を向上させるかについて検討していきたい. 4.結言■謝■辞■参考文献 本研究は,公益財団法人天田財団一般研究開発助成ff■■■ ■■■■■■■■ ■の支援を受けて実施したものです.ここに深い感謝の意を表します.■ Al2O3およびTiN粉末を用いてAD法にて結晶配向の高いセラミックス硬質膜の作製を試み,その力学特性について実験的に検討した.以下のことが明らかとなった. (1) Al2O3粉末およびTiN粉末によりAD法により作製した膜は,いずれの場合においても緻密かつ結晶質な膜が形成した. (2) 得られたAl2O3膜は(0001)面が成膜面に15°程度傾いた繊維集合組織となった.一方,TiN膜の場合には,{001}面が成膜面に平行となる繊維集合組織となった.また,いずれの膜においても高い結晶配向を有していた. (3) AD法で作製したAl2O3膜およびTiN膜は,AIP法により作製されたTiN膜よりもヤング率で30 %程度,ビッカース硬さで35 ~ 40%程度低い値を示した.成膜時の微細なボイドの形成の可能性や微細な結晶粒を有する組織の形成に起因した低下と考えている. − 195 −

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