助成研究成果報告書Vol.35
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合割5.静的再結晶シミュレーション活動すべり系の数②変形様式の違い:切削では剪断変形が生じるのに対し,圧延では平面ひずみ圧縮変形が生じる.そこで結晶塑性理論に基づき,図■■に示す単要素のモデルの剪断変形と平面ひずみ圧縮変形をシミュレートした.構成式には■■■■■の式,加工硬化則には■■■■■,■■■■■■■の式を用い,材料パラメータは単結晶純鉄の引張試験と結晶塑性有限要素法解析との比較より定めた.すべり系は{110}〈111〉および{112}〈111〉の ■系とし,単要素の結晶方位をランダムに■■■■通り選び,逐次,活動すべり系,結晶方位,加工硬化を更新しながら増分計算を行った.単純せん断■■■■平面ひずみ圧縮図■■単要素の結晶塑性解析モデル図■■にシミュレーションと実験より求めた極点図を示す.上段のff■■は圧延試験片,ff■■はそれに対応する平面ひずみモデルによるシミュレーション,下段のff■■は切屑試験片,ff■■はそれに対応する単純剪断のシミュレーションにより求めた(001)極点図である.圧延においては{122}〈11̅1〉方位に強い集中が見られること,切削においては{110}〈11̅1〉方位に強い集中が見られることなど,それぞれの加工組織の特徴がシミュレーションでも表れている.本シミュレーションでは結晶粒界や結晶粒径の影響が考慮されていないため違いも見られるが,圧延試験片は平面ひずみ圧縮で,切屑試験片は単純剪断で,変形の特徴を表現できると考えられる.図■■実験とシミュレーションの(𝟎𝟎𝟎𝟎𝟎𝟎)極点図の比較ff■■圧延試験片,ff■■平面ひずみ圧縮変形,ff■■切屑試験片,ff■■単純せん断変形図■ にシミュレーションで求めた,単純剪断と平面ひずみ圧縮における活動すべり系の比較を示す.縦軸は■■■■通りの異なる初期方位の結晶のうち横軸に示すすべり系が活動した結晶の割合を表している.このグラフより明らかに単純剪断変形と平面ひずみ圧縮では活動すべり系の数が異なっている.単純剪断変形では■ のすべり系が活動した初期結晶方位の結晶が■■%ほど存在するのに対し,平面ひずみ圧縮変形では■~■■のすべり系が活動している結晶が大多数を占めている.これは剪断変形では結晶内のすべり系の活動が活発であり,結晶内により多くの転位が蓄積することを示唆している.このような活動すべり系の違いが切屑試験片と圧延試験片の変形組織の違いに影響した可能性が考えられる.③変形温度とひずみ速度の違い:切削加工では薄い剪断面で瞬間的に塑性変形が起き,その剪断ひずみ速度は𝛾𝛾𝑠𝑠̇=1000~10000s−1に達する.さ加工ではロール回転速度からひずみ速度𝜀𝜀̅𝑟𝑟̇=8.0s−1程度らに塑性仕事が剪断面に集中するので,切屑は瞬間的に昇温する.サーモグラフィによる測定および解析によると切屑は温度は約■■■℃と推定された.これに対して圧延と推定された.切削加工に比べ■■■■■■程度であり,温度上昇も■■℃程度と考えられる.この様に切削加工と圧延加工でひずみ速度,変形温度とも大きく異なっており,これが変形組織内のサブグレインの分布や結晶内の転位の蓄積量の差の原因となったことが考えられる.以上より,切削加工により塑性ひずみを材料に加える方法が,均一で微細な再結晶組織の生成に有効と考えられる.核発生・粒成長モデルをもとにシミュレーションモデルを構築した.塑性変形によって材料に転位が蓄積し結晶格子が歪むため生じる方位差θを用いて,塑性変形による蓄積エネルギーを式ff■■■で表した.ここで方位差θは■■■■で測定した方位差分布を用いた.図■ 活動すべり系の数の比較− 188 −

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