助成研究成果報告書Vol.35
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表1加工条件1.研究の背景と目的2.静的再結晶実験 ■■■■キーワード:静的再結晶,結晶粒微細化,純鉄,圧延加工,切削加工,変形組織近年の社会的課題であるエネルギー,環境,資源などの問題に対応するために,素材の高強化や高機能化が重要な技術的課題である.これまでも加工熱処理による結晶組織制御が開発され,様々な高機能鉄鋼材料が開発されてきた.そのような組織制御による高機能素材の一つとして超微細粒鋼が注目されている.超微細粒鋼は単純組成の鋼材を用い,加工熱処理により高強度,高靭性を実現できるため,エネルギー,環境,資源等の問題への対処として重要な役割を果たすと期待される.さらに近年注目されている微細塑性加工において安定した加工特性,製品特性を得るためには結晶粒の異方性の影響を抑制することが重要であり,この点で超微細粒鋼は有用である■■.超微細粒鋼を作成するには素材に大きな塑性ひずみを加え,熱処理により同時に大量の再結晶核を発生させる必要がある.一般には圧延などの塑性加工法で強ひずみを与える手法が用いられるが,多結晶の鉄鋼材料では結晶粒内に結晶方位の違いによるひずみ分布が生じるため,場所により再結晶粒の生成状況が異なる.そのため素材全体の組織を均一に微細粒化するために過剰な塑性変形を要していると考えられる.効率的に均一な微細な組織生成する方法を開発するためには,塑性変形によってどの様に変形組織の分布が生じ,それがどの様に結晶粒径分布に影響するかを明らかにすることが重要である.本研究では塑性変形が再結晶組織に及ぼす影響を明瞭にすることを目的としている.合金成分を含まない純鉄を素材とし,塑性変形として板圧延と切削加工を比較し,変形の違いが静的再結晶粒分布に及ぼす影響を検討する. ■■実験方法図1に示すように𝜙𝜙100𝑚𝑚𝑚𝑚の純鉄丸棒を素材として,れを切屑試験片とした■■.また同素材から厚3𝑚𝑚𝑚𝑚×幅10𝑚𝑚𝑚𝑚×長30𝑚𝑚𝑚𝑚の板片を切り出し,■パスの平圧延を行なお表中の切屑試験片の剪断ひずみ𝛾𝛾は単純剪断面モデみε𝐻𝐻は圧下率から求めた公称ひずみである.■■旋盤にて外周を二次元切削し帯状の切屑を取得し,そい圧延試験片とした.表1にそれぞれの加工条件を示す.ルに基づいたひずみであり,また圧延試験片の圧縮ひず( ■■■年度一般研究開発助成AF-2019010-B2)東京工業大学工学院教授吉野雅彦これらの試験片をアルゴン雰囲気炉にて急速加熱急速冷却の熱処理を行った.熱処理温度は500℃および600℃で,熱処理時間は■分間とした.加工後および熱処理後の結晶組織を■■■■■■■■により分析した.工具材種すくい角𝛼𝛼切取厚さ𝑡𝑡0切屑厚さ𝑡𝑡𝑐𝑐剪断角𝜙𝜙剪断ひずみ𝛾𝛾切削速度潤滑条件 ■ 変形組織の比較図2にそれぞれの試験片の断面の■■方向の■■■マップを示す.ff■■は切削試験片で,左図は板厚中央部,右図はすくい面近傍であるが,両者ともほぼ均一な細かいサブグレインが生成しているのが見られる.ff■■は圧延試験片で,左図は細かい組織が見られた部分,右図は粗い組織が見られた部分である.圧延試験片ではサブグレインの大きさが不均一であり,大きな結晶粒が残り,不均一な変形組織となっている.図1純鉄丸棒を用いた加工熱処理実験切削加工ロール径ロール回転速度10 rpm圧延パス数潤滑条件圧延加工圧下率WC-Co10°25m/min0.04mmDry0.15mm圧延前板厚𝐻𝐻1圧延後板厚𝐻𝐻2圧縮ひずみε𝐻𝐻15.8 °3.640 mm0.91Dry2.96mm0.27mm-0.911− 184 −鉄系材料の加工熱処理における再結晶粒径分布の発生原因とその制御法の検討

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