図1ねじりモーション付加鍛造試験機の外観と構成1.研究の目的と背景2.加工試験機および鍛造条件 ■ 有限要素解析条件加工実験に加えて,市販有限要素解析ソフトウェアSimufact Formingver.15.0および16.0を使用して,被加工材の弾塑性変形および温度変化を3次元にて計算した.被加工材の物性値はSimufact Formingに内蔵の材料データベースを使用した.流動応力-ひずみ曲線は等方硬化を仮定し,ひずみ,ひずみ速度,温度依存性を考慮し,ヤング率,熱伝導率,比熱は温度依存性を考慮した.一方,金型-被加工材間の摩擦は摩擦係数= 0.1あるいはせん断摩擦係数m= 0.2とした.また金型-被加工材間の熱伝達率,大気-被加工材間の熱伝達率は,被加工材の温度実測値と有限要素シミュレーションによる温度計算値を比較して,それぞれ5000W·m-2·K-1,50W·m-2·K-1とした. ■■側方押出し鍛造方法および実験条件図2に側方押出し鍛造の金型構成およびダイの溝形状を示す.被加工材は外径9.5mm,内径d0= 3.0mm,高さ13.4mm(端面部:C1の面取り)の円筒形状として,端面の表面粗さをRa= 0.6mとした.パンチは円柱形状として,先端部の中心に一辺5.6mm,深さ3.0mmの正六角形溝を設けた.コンテナは内径13.0mmとして,ダイには図2(b)に示すような幅3.0mm,高さ3.0mm,長さ15.0mmの溝を45°毎に8本設けた.ただし,溝は十分に長く,鍛造後に被加工材が溝に充満しないようにした.またダイ中心部には,直径1.0mm×深さ5.0mmの捨て軸穴を設けた.パンチを-z軸方向に0.1mm/sで移動させ,コンテナおよびダイをr方向中心のz軸まわりに0.5rpm(0.05rad/s)でキーワード:鍛造,ねじり,塑性流動,歯車冷間鍛造による歯車成形では後工程の簡略・省略を実現するために,ネットシェイプ,ニアネットシェイプ化が取り組まれている.例えば,軽量・小型化の観点からヘリカルギヤの需要が急増しているが,ねじれ角が大きいと加工圧力の上昇や塑性変形量の増大により歯形部の加工精度や寸法精度が低下しがちである.そのため,加工圧力の低減や塑性流動の制御が課題であり,例えば,分流鍛造法1),コンテナ駆動閉塞鍛造法2)やサーボプレスによるスライド速度制御鍛造法3)が提案されている.それぞれの手法において塑性流動の方向,摩擦の方向および被加工材の温度分布が制御され,歯形部の塑性流動が制御されている.一方,筆者らは鍛造加工中に主加工軸まわりのねじりを付加するねじりモーション付加鍛造加工法の開発に取り組んでいる.これまでに据込み鍛造や後方押出し鍛造において,軸方向荷重の低減4),5),成形部の表面性状の向上6),せん断ひずみの導入領域の拡大7),8)を報告している.これらにおいて回転・ねじり方向は主加工方向とは異なる方向であるため,塑性流動の方向を変化させられる可能性がある.また現状の一般的なサーボプレスは主加工軸まわりの回転付加機構は有しない.しかしながら,一部の油圧プレスや材料試験機ではスライド回転機構を有し,回転・ねじりモーションが新たなスライドモーション制御として発展する可能性もある.本研究では,ねじりモーション付加鍛造加工法について,主加工軸まわりの回転・ねじり付加により塑性流動を変化させることに取り組む.歯車成形での歯形部への塑性流動に応用し,歯形部への素材の充満を促進させることを目指す. ■■加工試験機■■ねじりモーション付加鍛造加工用に設計・製作した加工試験機の外観写真を図1に示す.サーボモータを駆動源として,上ラムは上下移動,下ラムは上下軸まわりに回転する.上ラムは最大負荷荷重100kN,最大速度10mm/sであり,下ラムは最大負荷トルク200N·m,最大回転速度25rpmである.大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻( ■■■年度一般研究開発助成■■■ ■■■■■■■■ )准教授松本良− 174 −鍛造加工におけるねじりモーション付加による塑性流動の制御と歯車成形への応用
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