助成研究成果報告書Vol.35
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図2薄板V曲げ加工における接触状態のインプロセスモ図1異なる媒質の境界面における超音波の反射と透過6)■■緒言キーワード:薄板金属成型,接触条件,超音波,■■■■,可視化近年,機械部品は国際競争にさらされており,低コスト化および高精度化が求められてきている.精密機械部品をプレス加工のみで製作できれば,後加工の必要がなくなり,低コスト化が可能となる.このようなネットシェイプ化をプレス加工で行うには,金型の形状が製品に高い精度で転写されなければならない.近年,導入が進んでいるサーボプレスは,サーボモータを用いてスライドを昇降させる構造を有しており,スライドモーションを制御することによって精度の高い加工を行うことが可能である.しかしながら,加工中にプレスベッド,スライド中央部がたわみ,金型と製品の間にわずかな隙間が生じる場合がある.このような加工中に生じる隙間をセンサにより検出し,サーボ機構にフィードバックさせて金型のモーションやスライド下死点を制御すればネットシェイプ加工が可能となるだけでなく,機械を停止せずに調整が行え,全自動プレス加工システムの実現が期待される.また数値シミュレーションの精度を向上させるためには,加工中の製品形状を把握し,その結果を解析に反映させる必要が求められる.そのような要求より,インプロセスでの金型内における製品との接触状態を精度良く計測・可視化することは重要な課題である.しかしながら,著者の知る限り加工中の製品形状を精度良く計測する方法はない.仮に接触式または光学式センサを用いる場合,金型にセンサを設置するための穴を追加工しなければならず,金型の精度・剛性の低下を招く恐れがある.そこで,著者らは非破壊的手法である超音波を用いてプレス加工中の被加工材と金型の接触状態をインプロセスで計測するシステムの開発を行っている1)~9).超音波で接触状態を計測する場合,金型に追加工をせずに計測できる利点がある.金型内の超音波伝播は金型の形状および被加工材の材質および厚さに影響されることが分かっている.特に金型の形状は伝播経路に対する影響が大きい.それらの影響を全て実験で検証することは困難であり,超音波伝播シミュレーションによって調べる事は有効な手段である.そこで著者らは主に電磁波の伝播に用いられる有限差分時間領域法(Finite difference time domain method,以下FDTD法)5)~12)を用い金型内の超音波音場を数値シミュレーションにより可視化を行い,実際の計測値の予測を行う技術の開発を行っている.プレス加工に対しFDTD法を用いると被加工材の板厚を基準として空間差分を決定する必要がある.実際のプレス加工に適用する場合,被加工材に比べ金型の厚さの方が非常に大きい.そのため,被加近畿大学工業高等専門学校総合システム工学科機械システムコース( ■■■年度一般研究開発助成■■■ ■■■■■■■■■)准教授萩野直人2.インプロセスモニタリングの原理工材が薄板となる場合,要素数が膨大となり計算リソースの増加を招く.そこで本研究では,計算リソースの低減を目的として被加工材付近の空間差分を細かくしたsub-grid13)を用いたFDTD法の基礎的検討を行った.本研究で行っているインプロセスモニタリングは図1に示す様に異なる材質の境界面で超音波が反射する性質を利用している1),14).特に媒質2が空気の場合は超音波が全反射する.図2に示す様に,プレススライドが下死点に到達していない場合,金型と製品の間には隙間(空気)が存在し,その境界面で超音波は全反射する.一方,下死点まで到着すると境界面での反射量は減少し透過量が増加する.この反射,透過波の増減を計測する事により計測が可能である.この金型内の超音波伝播特性は金型の形状および被加工材の材質・厚さに影響されることが分かっている1)~9).特に金型の形状は伝播経路に対する影響が大きい.それらの影響を全て実験で検証することは困難であり超音波伝播シミュレーションでの検証が有効である.ニタリング(a) 下死点前■■■■■■■■■(b)下死点− 166 −プレス加工中におけるインプロセスモニタリング

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