助成研究成果報告書Vol.35
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(厚さ3 mm)4.水素吸蔵性能評価用センサチップ製作(a)多段リソグラフィによる(b) オーバーモールド設置(c) PDMSプレポリマ注入(d) PDMSプレポリマ熱処理5.面内圧縮塑性変形パラジウム薄膜の水素吸蔵実験な稜線が得られたものと考える.また,連なった長く鋭い稜線が観察されたため,面内圧縮塑性変形スパッタ法によるパラジウム薄膜の隆起は,金属材料の塑性変形における典型的なすべり面の特徴を示しており,パラジウム薄膜内部において,転位が生じていることを裏付けている.図4AFMによる表面粗さ解析画像:(a)通常スパッタ法で成膜したパラジウム薄膜,(b)面内圧縮塑性変形スパッタ法水素吸蔵性能,および,水素検出感度を評価するために,シリコーン樹脂のPoly(dimethylsiloxane) (PDMS)を使用して,ナノインプリントリソグラフィ技術によって6),微細流路型の水晶振動子センサチップを製作した.図5は,センサチップの製作プロセスを示している7).図6は,製作したセンサチップの構造図と外観画像を示している8).図5ナノインプリントリソグラフィと基板直接接合を用いた評価用センサチップの製作プロセス7)エポキシ系ネガティブレジスト(SU-8 3000, MicroChem)を使用して,塗布と露光を連続的に2回繰り返し,樹脂モールドをシリコンウェーハ上に形成した(図5(a)).その後,オーバーモールドを設置し(図5(b)),PDMS(Sylgard184, Dow Toray)プレポリマを注入した(図5(c)).熱処理によって硬化させた後(図5(d)),モールドから剥離し,水晶振動子を微細ピラーで支持した状態で配置した(図5(e)).上下のPDMS微細流路基板の接合面に,大気プラズマ,または,酸素プラズマを照射して官能基を励起し(図5(f)),基板同士を重ねることで水素結合を介して基板同士を直接接合した(図5(g)).接合強度を高める場合には,この後,熱処理を施すことで,酸素原子を介した共有結合が促され接合強度を高めることができる9).最後に,上側微細流路基板に,生検トレパンを使用して,ガスの導入と排気のための穴加工を施した.図6評価用センサチップ8):(a)チップ構造図,(b)外観画像図7は,水素吸蔵実験に用いた装置の構成を示している.製作した評価用センサチップは,電磁波を用いて無線で駆動した10).ネットワークアナライザを使用して,水晶振動子の板厚せん断振動における基本共振周波数(約56 MHz)を含む帯域をスイープすることで,センサチップの上側に取り付けた銅箔アンテナから水晶振動子へ電磁波を印加し,逆圧電効果を介して励振した.同時に,振動する水晶振動子の表面には,圧電効果によって励起した電荷が生ずるため,センサチップの下側に取り付けた銅箔アンテナで検出した.このように,電磁波を使用した無線による水晶励振と信号受信が連続的に実施され,水晶振動子表面に形成した面内圧縮塑性変形パラジウム薄膜の水素吸蔵に起因する周波数変化を計測することで,水素吸蔵性能,および,水素検出感度を評価した.図7水素吸蔵性能評価に用いた実験装置構成水素吸蔵実験では,使用するガスの流量が50ml/minとなるように,マスフローコントローラを使用して制御した.初めに,窒素ガスを流し,水晶振動子の共振周波数変化が樹脂モールド形成(e) 水晶振動子の支持(f) プラズマ処理(g) 直接接合,貫通穴加工水晶振動子微細ピラー大気プラズマシリコンウェーハSU-8 (フォトレジスト)オーバーモールドPDMSプレポリマPDMS基板水晶振動子微細流路微細ピラーマスフローコントローラ評価用センサチップ同軸ケーブル− 155 −吸気口排気口上側基板水晶振動子下側基板チューブ電磁波(入力)銅箔アンテナ水素ボンベ電磁波(出力)吸気口微細流路微細ピラー排気口レギュレータ窒素ボンベネットワークアナライザ(a)(1 vol%)データ収集用PC(b)(a)(b)

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