図5 鍛造材(a)(c)750℃-10-3s-1, (b)(d)850℃-10-3s-1の図4 鍛造材(1:750℃-10-3s-1, 2:850℃-10-3s-1)のSEM像.これまでに報告されている(α+β)型Ti合金での変形の活性化エネルギーにおいて,一般にはラメラ形態に比べて等軸形態の方が低いQ値を示す傾向にある.これは幾何的な影響で等軸形態にてより均一変形が促進され,より均一に試料内部で動的復旧過程が均一に起きるためでもある.興味深い事に本研究の結果では,ラメラ形態に比べて等軸形態の方が高いQ値を示す.本研究の等軸形態(図1(c))では,残留β相が多い(β分率が高い)準安定な状態を出発組織としているために後述するように変形過程(750℃)で動的にα相が析出しており,この動的な影響も等軸形態にて見掛けのQ値が増加した要因として挙げられる.図3は得られたQ値をZener-Hollomon(Z)因子(Z=exp(Q/RT))に導入して,Z因子と流動応力値(塑性ひずみ量0.6での応力値)の関係をまとめた図である.これよりいずれの出発組織の場合でもZ因子と応力値は良い線形関係にあり,変形過程では一様に熱活性化過程に支配されている事が分かる.更にいずれの出発組織においても同様な勾配を呈しており,組織形態によらず同様な熱活性化過程・動的復旧過程が起きている事を示唆するものである.■■■■ ■■鍛造後の組織図4は各出発組織[(a-1,2)ラメラ形態,(b-1,2)Bimodal形態,(c-1,2)等軸形態]の鍛造加工後[(a,b,c-1) 750℃-10-3s-1, (a,b,c-2)850℃-10-3s-1]の試験片中心部でのSEM反射電子像である.ラメラ組織は750℃の加工ではラメラが湾曲した“lamellae kinking”が起き,不均一変形と軟化現象の要因の一つとなる.他方,加工温度が850℃に増加する事により熱活性化過程がより顕著になるために,ラメラ形態の球状化が活性化される.Bimodalの出発組織ではラメラ域では球状化および粗大化が顕著に起きている.他方,等軸出発組織において750℃では残留β域から微細なα相が生成している.これは,この等軸組織では残留β相が多い準安定組織を出発組織としているためであり,変形過程で動的なα相の析出が起きている事に由来する.先述したようにこの変形過程における動的なα析出は変形の見かけのQ値を増加させる要因の一つである事が推察される.以上のラメラ形態で観察された動的球状化現象においては加工プロセス過程において組織を等軸化させるためのいわゆる“breaking down”の過程で重要な現象で,如何にこの現象を活性化させるかが鍵となる.αラメラの動的球状化現象では大きくは2つの機構に分類され,1つは“boundary splitting process” 7)であり,加工過程にてαラメラ内で起きるシアーを起点としてラメラを分断させて等軸粒が生成する機構である.他方では“termination migration process” 8)があり,これはαラメラ表面での湾曲部を起点(駆動力)として平坦な界面への溶質元素の拡散が活性化され,等軸化・球状化が起きる機構である.後述するように本研究ではこの球状化現象に着眼して予測モデルの検討と機械学習を援用したプロセス因子の影響を定量的に解明している.(a)ラメラ組織,(b) Bimodal組織,(c)等軸組織EBSD-OIM像.(a)(b)ラメラ組織,(c)(d) Bimodal組織次にβ相における組織変化に着眼する.図5はラメラ出発組織[(a)(b)]およびBimodal出発組織[(c)(d)]における加工後[(a)(c)750℃,(b)(d)850℃-10-3s-1]のβ相のみに着眼したEBSD-方位像である.図中にはβ粒の高角粒界頻度も併せて載せている(Bimodal出発での750℃の加工条件では検出されたβ相がわずかであったために,高角粒界頻度は載せていない).図5よりいずれの加工条件においても微細な等軸β粒が生成している事が分かる.高角粒界頻度に着目すると,より高温な加工により頻度が増加する傾向にある事がわかる.これについては他の加工条件のEBSDの結果からも明らかとなっている.Ti合金におけるβ相の等軸・微細化における動的復旧過程ではCDRXが支配的に起きる事が良く知られ9),Ti-6246合金におけるβ相もCDRX− 138 −
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