助成研究成果報告書Vol.35
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図15 アクリル樹脂へのスタンプ実験(右転写面) 6. 現在の研究展開 5. 結論 参考文献 本研究においては,研削砥石の塑性加工的利用法として超砥粒ホイールを利用した表面テクスチャリングの形成法を検討した.研削加工システムでブラスティングのようなことが実現できれば工具の位置決め制御によってテクスチャリングを施す面とそうでない面をマスキング処理なしで選択的に処理可能となり,また付帯設備もショットブラストのような遊離砥粒加工のように大型の高圧装置を用いないでできる可能性があるからである.得られた結果を下記に記す. (1)基礎実験においては工作物に連れ回りする超砥粒ホイールを利用して,砥粒と工作物間における相対速度差を零に制御することによって,砥粒切れ刃が工作物表面をトラバースすることなく工作物に圧痕を生じさせて梨地状テクスチャ面が形成できることが示された. (2)超砥粒ホイールによるテクスチャリング面形成においては工作機械の位置決め装置が利用できるために局所的な梨地面形成が工作物表面に選択的に可能となり,マスキング処理や高圧装置等の付帯設備が不要であることが示された. (3)工具と工作物間の相対速度差を10%に保つことで鱗状の表面テクスチャが得られた.このことより砥粒切れ刃と工作物の速度差を能動的に制御することによって梨地面から新たな表面テクスチャを連続的に制御できる可能性を示唆している. (4)低慣性モーメントのホイールデザインを2種類提案し,重量削減率で概ね70%の超低慣性モーメントの超砥粒ホイールが達成できた. (5)電力削減と回転速度制御に対する応答性の向上の確認ができた一方で,砥石軸まわりの慣性モーメントのほうが大きいために軽量化効果には一定の限度があることが分かった. 6.1 梨地成形面の射出成型金型への適用の可能性 固定砥粒加工工具によるテクスチャリング面を金型加工に実装することを目的として,射出成型を見立てた実験をした.ここでは梨地加工を施したスタンプを作成しこのスタンプを金型としてアクリル樹脂に加熱しながら押し付けた.得られた面を図15に示す.テクスチャリングの転写が確認できた. 6.2 摺動における油だまりとしての梨地成形面の可能性 本研究助成の表彰式において静岡大学の早川邦夫教授と固定砥粒加工工具で得られたテクスチャ面の実装について意見交換をする機会を得た.そのときの議論をもとに現在内燃機関の内部抵抗削減する研究を展開している. (図16)成果については2021年度の日本機械学会九州学生会卒業研究発表会にて学生が発表をし,工作機械技術振興賞奨励賞を受賞した.予期せぬ朗報に本当に驚くことしきりであったが,今回の助成が我々の研究の飛躍のきっかけとなったことは間違いなく.心より感謝する次第である. (1) たとえば,産業工芸試験所技術第一部,梨地仕上げについて. (2) たとえば,特開2011-212820. (3) 固定砥粒加工工具による梨地面創成法の開発(アクティブフィードバックによる速度制御系の適用), 喜多 亮氏,柳原 聖,日本機械学会 2016 年度年次大会講演論文集 〔2016.9.11-14,福岡〕,S1310204,査読無,2016. (4) 局所的梨地加工面加工用工具およびその加工法, 柳原 聖,特許公開2016-147369. (5) 固定砥粒加工工具による局所的梨地面創成法の開発,喜多亮氏,師岡昂平,柳原 聖,精密工学会九州支部飯塚地方講演会第16回学生研究発表会講演論文集,p.138. (6) 固定砥粒加工工具による梨地面創成法の開発,喜多亮氏,柳原 聖,日本機械学会年次大会講演論文集[2015.9.13-16](DVD-ROM),S1340103. この助成を利用した文献 (7) Hiroki Kakoi, Kiyoshi Yanagihara, Koji Akashi, Kensuke Tsuchiya, Development of Vertical Articulated Robot Deburring System by Using Sensor Feedback, IOP Conference Series: Materials Science and Engineering 886 1 - 4 2020. (8) 柳原聖,野原和人,軽量高剛性超砥粒ホイールのデザイン研究,日本機械学会2018年度年次大会講演論文集,S1320106. 図16 ピストンスカート部への実施例 − 135 −

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