助成研究成果報告書Vol.35
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3.実験結果および考察 図3 各圧下率で加工熱処理した試料のビッカース硬さ2・4 残留オーステナイト評価 熱処理後の試料中に残存する残留γ量と残留γの炭素濃度を評価するため,各熱処理を施した試料から10 mm四方の試験片を採取し,湿式研磨および電解研磨を施した後にX線回折装置にて残留γの評価を行った. VH 3・3 微細組織 図4に条件A(圧下率50%)の加工熱処理を施した試料と条件Bの熱処理のみを施した試料のSEM観察像を示す.図4(b)では旧γ粒界内にいくつかのパケット境界が観察され,そのパケット内に比較的大きなベイニティックフェライトブロックが存在していた.一方で,図4(a)の加工熱処理が施された試料では,旧γ粒界やパケット境界は不明瞭であり,組織が圧延加工によりパンケーキ状に押しつぶされた/伸長したように見られる.また,条件Aのベイニティックフェライト組織は条件Bよりも微細になっているようにも見える. 3・1 熱間圧延と恒温保持処理の加工熱処理試験 図2に,本研究の予備試験として0.4C-1.5Si-1.5Mn-0.5Al-0.05Nb(mass%)鋼板を用いて図1中の条件A(圧下率60%)と同様に,熱間圧延した直後に400ºCで恒温保持処理を施した試料の外観を示す.加工熱処理前の試料寸法は長さ90 mm,幅40 mmである.加工熱処理を施した結果,圧延された試料の耳割れや部分的な破断などは生 図4 (a)条件A(圧下率50%)の加工熱処理を施した 試料と(b)条件Bの熱処理を施した試料のSEM観察 像. 図2 圧下率60%で熱間圧延した直後に400ºCで恒温保 3・2 ビッカース硬さ 図3に条件Aの各圧下率で加工熱処理を施した試料のビッカース硬さ試験結果を示す.図3より,圧下率40%においてHV289となり,圧下率が高くなるとともにHV353まで増加傾向を示した.一方で,熱処理のみの条件Bのビッカース硬さはHV379となり,条件Aのビッカース硬さよりも高い結果となった.これは,後述の条件Aにおける残留γ体積率の増加と関係していると考えられる. 加工熱処理を施すと熱処理のみの場合に比べてわずかにビッカース硬さが低くなるが,圧下率50%程度以上で熱間圧延した後にオーステンパー処理を施すことで,高いビッカース硬さが得られることが分かった. 圧延率(%)2・5 引張試験 引張試験は,熱処理後の試料から標点距離20 mm,平行部幅5 mmを有する引張試験片をそれぞれ2本ずつ採取し,試験環境温度を25 ºC,ひずみ速度を8.3×10-4s-1として行った. じなかった.また,試料表面は大きな粗さは無く,その形状も概ね均一な厚さと幅が得られた.本研究で用いた供試材は,予備試験で用いた鋼板よりも焼入れ性が高いが,予備試験同様に耳割れの無い.均一な板厚を有する試料が加工熱処理により得られた. 持処理を施した試料の外観○). (a) ST (b) 試験結果.条件Bの試料硬さ:HV379 400350300250200L 344351289304050607020 μm 3533348090100− 122 −

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