助成研究成果報告書Vol.35
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図11:1480 nmの光励起で1550 nmのレーザ発振を微小光共振器で実現 そこで,1480 nmの波長を励起光として用いて,共振器を励起し,レーザ発振を試みた.その結果を図11に示す.励起光5 μWにて明確な発振しきい値が観測され,レーザ発振が実現できていることが確認できた.これは世界最小クラスのErドープレーザである. パルスレーザを実現するためには,可飽和吸収体を付与する必要がある.可飽和吸収体として,Erドープモードロックファイバリングレーザで広く実績のある,カーボンナノチューブ(CNT)を選択した.はじめに,CNTが可飽和吸収応答を示すことを確認する必要がある.そこで,微小光共振器にCNTを修飾し,Q値の変化から可飽和吸収を確認することとした.すなわち,吸収が低下すればQ値が向上するはずであり,それが入力光強度にどのように依存するかを調べれば良い.その結果を図12に示す.Q値測定から得られた吸収係数を算出すると,入力光パワーを向上させるにつれて,吸収が低下していることが確認できた.これは可飽和吸収の存在を直接示す結果である. 図12■CNT修飾トロイド微小光共振器の入力光強度に対するQ値測定から得られた吸収係数 存在を確認するところにある.繰り返し光パルスが極めて高く,共振器のQ値が非常に高いため,従来とのリング共振器とは全く異なる領域を扱うので,計算によるパラメータの見積もりが必要不可欠である. その結果を図13に示す.実験で実現しうるQ値であるQ値107と108それぞれにおいて,利得と可飽和吸収の変調深さをパラメータとしてモードロックに必要な条件を求めた.図11の結果から,共振器を1周する毎の利得はおおよそ10-3程度であることがわかっている.これはErの利得断面積から見積もられる値ともよく一致している.つまり,この利得においてモードロックを得るためにはQ値が107の共振器では難しく,108の共振器が必要であることがわかった.なお,この条件は繰り返し周波数が100 GHzの場合であり,繰り返し周波数を10 GHz程度まで下げる大きさの共振器を用いることでQ値107の共振器でもモードロック出力が得られることがわかった.詳細は研究論文発表したのでそちらを参照頂きたい6). この知見は,レーザ開発において必要不可欠であり,我々は世界最小級のErドープモードロックレーザの実現に向けて歩みを進めることができた. 図13■Q値107及び108の共振器におけるモードロック発振の条件.横軸は変調深さ,縦軸は1周あたりの利得. Er利得とCNTの可飽和吸収の両方を確認できたので,次の課題はモードロックレーザを実現するパラメータの− 108 −

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