助成研究成果報告書Vol.35
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図5:(a) MgF2共振器の超精密加工による切削加工.(b) 切削加工で作製したMgF2-WGM光共振器.(c) 設計した分散と測定結果. 図6:(a) 図5で作製した微小光共振器の分散(左軸)とFWM光発生に必要な位相整合条件(右軸).(b) OPO発生のための実験セットアップ.(c-d) 1549.47 nmの光波長で励起した時に発生したアイドラー光とシグナル光. 6.MgF2結晶WGM共振器による高繰り返し光パルス光源開発 MgF2結晶は堅く脆いが,材料への切り込み深さを精密に制御して延性加工モードと呼ばれる加工を行うと滑らかな表面形状の共振器が切削加工のみで作製できる4).切削加工はnmオーダの位置決め精度を持つコンピュータ制御で行われるので,共振器形状を極めて精密に制御できる.作製した共振器を図5(b)に,得られた分散を図5(c)に示す.設計値と実験で得られた分散値が正確に一致していることが見て取れる.またこの共振器のQ値は>108であった.この成果は,高プロファイル国際学術誌であるOpticaにて発表し報道発表を行い,複数の新聞掲載がなされるなど,大きな反響を呼んだ3). 精密に分散制御した微小光共振器を用いれば,FWM光発生を高度に制御できる.2次分散と4次分散が逆となるように分散を設計すると,励起光から遠く離れた波長で縮退FWM光を生成できる.図6(a)に2次分散を正に4次分散を負に設計した微小光共振器の分散と位相整合を示す.4次分散が2次分散を補償する形となるので,励起光モードから遠く離れた波長で位相整合がとれる.この共振器では励起光のモード番号を0としたときにモード数±500付近で位相整合が取れている. これを利用すると,広い波長範囲で微小な光パラメトリック光源(OPO)を実現することができる.実験セットアップは図6(b)に示す.連続光で微小光共振器を励起しその出力を光スペクトルアナライザで測定した.その時に得られたアイドラーとシグナル光をそれぞれ図6(c)及び6(d)に示す.予測されたとおりに励起光波長から遠く離れた波長の光が生成できていることが確認された.また,この波長は入力光の波長をわずかに変化させるだけで大きく変化させることができる5). 出力が高速な光パルス列となる,ソリトンコムを発生させるためには,励起光の波長を共振器の共振器モードの短波長側から長波長側に沿って波長掃引する必要がある.出力光コムの強度をモニタしながら,励起レーザを3 MHz/msの速度で掃引した結果が図7(a)である.掃引中に生成する光コムの様子をとらえたのが図7(b)である.励起光が共振波長に十分近づくと,FWMが効率的に発生し,光コムが発生する.最初はTuringパターンコムと呼ばれる状態からスタートし,変調不安定(Modulation instability: MI)コムと呼ばれる状態をとる.励起レーザの波長が共振波長に対して実効的に長波長側となった瞬間に,図7(a)に示すように透過率がステップ状に低下する.その時に得られるのが,図8に示すソリトンコムある.ソリトンコムでは,スペクトルの各縦モードの位相がロックして,FSRに一致する高速な光パルス列が出力として得られる.また,ソリトンコムは極めて安定しており,長時間出力が維持される.図8の挿入図に,スペクトルの長時間安定性の様子を示した. − 106 −

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